論説
— 創世記24章 ー
<聖書を読みましょう>
「そのころ、アブラハムは、自分の全財産を管理している家の最年長のしもべに、こう言った。「あなたの手を私のももの下に入れてくれ。 私はあなたに、天の神、地の神である主にかけて誓わせる。私がいっしょに住んでいるカナン人の娘の中から、私の息子の妻をめとってはならない。あなたは私の生まれ故郷に行き、私の息子イサクのために妻を迎えなさい。」(創世記24:1-4)
アブラハムが自分の最年長のしもべに、イサクに伴侶を迎えることを依頼した場面です。ももの下に手を入れて頼まれたことを実行することを誓うものでした。これは当時のひとびとの風習となっていたものであろうと思われます。後にヤコブが死ぬとき自分の葬りについてヨセフに頼んだ時もてをももの下に入れさせて誓わせています。
この章のできごとにはいろいろ考えさせられます。文面からはこのしもべは護衛をつれず、一人でいったように読み取れます。当時の治安はよかったのでしょうか?ヤコブがヘブロンからパダンアラムに行ったときも一人でした。アブラハムのしもべは老人でしたが、ヤコブは40歳でした。
アブラハムのしもべは使命を果たすことに必死でした。彼はブラハムの神を信じる信仰のひとでした。アラム・ナハライムのナホルの町についたとき祈りました。
「そうして言った。「私の主人アブラハムの神、主よ。きょう、私のためにどうか取り計らってください。私の主人アブラハムに恵みを施してください。ご覧ください。私は泉のほとりに立っています。この町の人々の娘たちが、水を汲みに出てまいりましょう。私が娘に『どうかあなたの水がめを傾けて私に飲ませてください』と言い、その娘が『お飲みください。私はあなたのらくだにも水を飲ませましょう』と言ったなら、その娘こそ、あなたがしもべイサクのために定めておられたのです。このことで私は、あなたが私の主人に恵みを施されたことを知ることができますように。」」(創世記 24:12-14)
彼は「こうして下さい。」と神に遠慮無く頼んでいます。その祈りにはイサクの妻にふさわしい女性は、私に水を飲ませてくださいといったら<(10頭の)らくだにも飲ませてあげましょう>と言ってくれるひとでした。
「しもべは彼女に会いに走って行き、そして言った。「どうか、あなたの水がめから、少し水を飲ませてください。」すると彼女は、「どうぞ、お飲みください。だんなさま」と言って、すばやく、その手に水がめを取り降ろし、彼に飲ませた。彼に水を飲ませ終わると、彼女は、「あなたのらくだのためにも、それが飲み終わるまで、水を汲んで差し上げましょう」と言った。彼女は急いで水がめの水を水ぶねにあけ、水を汲むためにまた井戸のところまで走って行き、その全部のらくだのために水を汲んだ。
この人は、主が自分の旅を成功させてくださったかどうかを知ろうと、黙って彼女を見つめていた。」(創世記 24:17-21)
らくだ十頭に水を飲ませるのは重労働ですが、彼女は水ぶねに水をあけると、また水を汲むために走って井戸に行ったと書かれています。
彼女は名前をリベカといい、アブラハムの兄弟ナホルの子ベトエルの娘でしたがべトエルの家庭はすでに息子、リベカの兄、ラバンが実権を持っていました。
アブラハムのしもべはリベカに金の飾り輪と両腕につける腕輪を与えました。金の飾り輪は鼻につけたと書かれていて、面白いなあと思います。私は鼻や口びるにピアスをつけているひとを映像や写真でみると気持ち悪いと感じますが、鼻輪をぶらさげているリベカを思い浮かべ、違和感を覚えてしまいます。しかし当時の人々にはそれが当たり前のことだったのでしょう。
「その娘は走って行って、自分の母の家の者に、これらのことを告げた。リベカにはひとりの兄があって、その名をラバンと言った。ラバンは外へ出て泉のところにいるその人のもとへ走って行った。彼は鼻の飾り輪と妹の腕にある腕輪を見、また、「あの人がこう私に言われました」と言った妹リベカのことばを聞くとすぐ、その人のところに行った。すると見よ。その人は泉のほとり、らくだのそばに立っていた。」
(創世記 24:28-30)
ラバンの目にとまったのは妹がもらった金の飾りものだったとよく言われます。「相手は金持ちだ」が判断材料でした。
アブラハムのしもべは祈りが答えられた経緯を説明しました。「するとラバンとベトエルは答えて言った。「このことは主から出たことですから、私たちはあなたによしあしを言うことはできません。」」(創世記 24:50)と承諾しました。
彼は翌日すぐにリベカをつれてアブラハムとイサクのもとに引き返そうとしました。「すると彼女の兄と母は、「娘をしばらく、十日間ほど、私たちといっしょにとどめておき、それから後、行かせたいのですが」と言った。」(創世記 24:53)リベカの兄だけで無く母も出てきます。
「しもべは彼らに、「私が遅れないようにしてください。主が私の旅を成功させてくださったのですから。私が主人のところへ行けるように私を帰らせてください」と言った。彼らは答えた。「娘を呼び寄せて、娘の言うことを聞いてみましょう。」それで彼らはリベカを呼び寄せて、「この人といっしょに行くか」と尋ねた。すると彼女は、「はい。まいります」と答えた。そこで彼らは、妹リベカとそのうばを、アブラハムのしもべとその従者たちといっしょに送り出した。」(創世記 24:53)
「しもべは自分がしてきたことを残らずイサクに告げた。イサクは、その母サラの天幕にリベカを連れて行き、リベカをめとり、彼女は彼の妻となった。彼は彼女を愛した。イサクは、母のなきあと、慰めを得た。」
(創世記 24:66-67)