聖書の植物
— 香料、薬草、野草から —
写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可により掲載。
詳細は同氏のホームページ 又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。
詳細は同氏のホームページ 又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。
沈香
アロエ
Aquilaria agalloch
ジンチョウゲ科ジンコウ属
ヨハネ 19:39~40、詩編45:8~9、雅歌4:12~14参照
常緑の高さ30m、幅1mにも及ぶような大木であるAquilaria agallochaを主とする植物から得られる。この木はインド東部が原産地で、インド東部から東南アジアに分布する。木材が地中に埋まって、長い年月で樹脂が浸出してできる香木が良質で、比重が重く水に沈むのでこの名がある。人工的に樹木に傷をつけて、時にはそこに土を埋めて沈香をつくることもする。樹皮は粗で柔らかく、外皮はコルク層が発達していて灰色で、内皮は淡黄褐色である。材は白いが柔らかくて傷を受けやすく、そこに樹脂を含み香りを発する。精油に樹脂がとけたところは黒っぽく硬化していてオレオレジンという。これを採取して焚香料とする。これを蒸留した精油は高級香水に混ぜる。沈香はベンジルアセトン、高級アルコール、テルペンなどから成る樹脂を約50%含む。
一方沈香と混同されているものにアロエがある。アロエは古代エジプトでも薬用や死体処理に使用されていた。アロエはエジプトなどに多く育つのでそうかもしれない。Aloe veraはバルバドスアロエと呼ばれ、花の色が黄色~橙色の有茎種のアロエで、60cm~1mまたはそれ以上に成長し、薬用や野菜とするために各国で栽培されている。原産地は南西アラビアとされる。多肉性植物であるので、かなり遠方に長時間運んでも植えればつく。インドでは沈香入りの香油は死体の防腐処理にも使用した。