同労者

キリスト教—信徒の志す—

ショートコラムねだ

— 時間距離とコスト距離 —


 今回もまた雑談でいこう。
 かつて某政治家が「列島改造論」なるものをぶち上げ、その結果、自動車道路網と新幹線が建設された。それはいまだに止まらずに、建設されつづけている。
南北に走る路線からはじまったが、それを東西に結んで、ようやくそれらしくなってきた。
 皆さんはもう過去を知らないことであろう。東京へ出張するのに、寝台列車で夜中に走り、朝ついて、仕事をしたものであった。それが今は2時間でゆく。
 自動車で移動するのも非常に速くなった。高速道路を自動車で走れば、仙台東京間360km、約4時間、すこし頑張れば3時間でいく。20kmオーバー位許されよ。
 夜、国道6号線でいくと7時間くらいかかったのであった。
 「列島改造論」に忘れられたものがあった。それは「時間距離」だけ短縮し「コスト距離」を考えなかった点である。
 たまにしか使わないのであるが、利用してまず感じることは、「ゲッ、なんて高いんだ。」である。
 アメリカやヨーロッパの国々では、こんな高い有料道路を使っているのか?
有料道路は特別なところにしかないと聞いているではないか。
 列島改造失敗の原因は、コスト距離を考えなかった点にある。
自動車専用の、信号機のない国道網が張り巡らされ、新幹線は1kmあたり2~3円の料金設定にすべきであった。そうすれば、仙台、新潟、名古屋を結ぶ範囲が全部、東京の郊外という感じで利用できたのだ。土地の利用価値が上がり、路線価が高くなる。それで固定資産税は上がるがそれはやむを得ない。売り買いする価格が高いのだから、それで結構である。土地が売り買いされるたびに、税金が納められ、建設費が回収される。
 企業の立地範囲は広がり、東京中心ではあっても、分散されて集中が軽減される。
 ニューディール政策に匹敵するものであり得たろうに、残念な結果になった。
建設費を回収したら無料にする約束で始めたのであったが、それを反古にし、永久に高い料金設定にしてしまった。
利権に群がる人々のせいか?
上がりを国で使いたいと思う人々が近視眼なのか?
 クリスチャンの皆さん、上がりを自分のところに囲い込もうとすると同じ轍を踏むかも。
「今、万軍の主はこう仰せられる。あなたがたの現状をよく考えよ。あなたがたは、多くの種を蒔いたが少ししか取り入れず、食べたが飽き足らず、飲んだが酔えず、着物を着たが暖まらない。かせぐ者がかせいでも、穴のあいた袋に入れるだけだ。」(ハガイ書 1:5-6)