同労者

キリスト教—信徒の志す—

ショートコラムねだ

— 時間で稼ぐ —

 子どもの頃、私の家では「時間で稼ぐ」ということばが使われていた。その意味は「時間を稼ぐ」のでもなく「時間給で稼ぐ」のでもない。時間あたりにするとほんのわずかな働きでも、長い時間をかけると大きな働きになるという意味である。

 先頃、2ヶ月の水道使用量が59トンという計量報告が入った。昨年同月は14トンだという。水道の使い方は変わっていないのに、なんと45トンも増えている。水道の計量器をみると、家中の蛇口を全部閉めてあるのにパイロットの針がゆっくりゆっくり回り続けている。漏水だ。蛇口をほんのちょっと開けてももっと勢いよく回る。漏れている量は、糸もひかずポトッ、ポトッとでてるくらいらしい。
45トンを2ヶ月の時間でわってみると、毎秒8ミリリットルになる。
水道局に時間で稼がれてしまった。水道局のせいではないけれども。

それで、子どものころの「時間で稼ぐ」ということばを思い出した。

♪ささやかなる しずくすら
  流れゆけば 海となる

 という讃美歌はまさにこのことである。 毎週日曜日に、教会学校成人科で信仰書をテキストとして読んだ。読むのは30分くらいに過ぎないが、40年も続けたので、教会学校の席についてくださった方々は、なんとたくさんの信仰書を読んだことであろう。


 山室軍平「平民の福音」、ムーデー「神への道」、ビリー・グラハム「神との平和」といった入門書とよばれるもの、バウンズ「祈りによる力」、ピアソン「祈りの学校」、アンドリューマーレー「まことのブドウの木」「絶えず祈りなさい」「祈りの学校」「キリストの御霊」など祈りに関するもの、ブラザーローレンス「敬虔の生涯」、バンヤン「天路歴程」、ムーデー「聖書の人々」、FBマイヤーの聖書中の人物に関する著書(多数)、パジェットウィルクスの「イエスの個人伝道」「救霊の動力」、ストーカー「キリスト伝」、ハドソンテイラー「雅歌」、小原鈴子「かくれし力」、ケラー「羊飼いが見た詩編23編」、ウェスレー「キリスト者の完全」、エーリヒザワー「世界の救いの黎明」、「十字架の勝利」、ジェファーソン「教会の建設」「イエスの品性」・・・とまだまだ数えきれない。


 毎週のわずかな時間も積もると、このようになる。
 学校で学んだことを、全部覚えているのではないが、学びの力が残る。同様に、教会学校もひとつひとつ覚えているのではないが、必ず兄弟姉妹たちの信仰の力となったと確信している。