同労者

キリスト教—信徒の志す—

聖書研究

— 罪について(33)—

野澤 睦雄


「アハズヤの母アタルヤは、自分の子が死んだと知ると、ただちに王の一族をことごとく滅ぼした。しかし、ヨラム王の娘で、アハズヤの姉妹のエホシェバが、殺される王の子たちの中から、アハズヤの子ヨアシュを盗み出し、彼とそのうばとを寝具をしまう小部屋に入れて、彼をアタルヤから隠した。それで、彼は殺されなかった。」(列王記Ⅱ 11:1-2) 「アハズヤの母アタルヤは、自分の子が死んだと知ると、ただちにユダの家に属する王の一族をことごとく滅ぼした。しかし、王の娘エホシェバが、殺される王の子たちの中から、アハズヤの子ヨアシュを盗み出し、彼とそのうばとを寝具をしまう小部屋に入れた。こうして、ヨラム王の娘、祭司エホヤダの妻、エホシェバは、──彼女がアハズヤの妹であったので──ヨアシュをアタルヤから隠した。アタルヤはこの子を殺さなかった。」 (歴代誌Ⅱ 22:10-11 )

2.各論
(4)盗み < 8 >
 このテーマの本題は、罪は神に反逆するもの、神に敵対するもの、神と自らを隔てるもの、神の恵みを受けることを阻害するもの、神のみこころを知り損ねさせるものであり、その払う値は永遠の滅びであって、イエス・キリストが十字架の死によってでも救い出さなければならないと思われた恐るべきものであることを悟り、自分のうちに罪を見いだしたなら、イエスの備えてくださった救いを受けることにあります。
しかし今回は「盗みだし」という言葉が使われていますが、「救い出し」と言い換えた方がよい内容のできごとです。

 この記事を機会に、本題からはずれますが以下のことを見ておきましょう。
 サタンは、人間をイエス・キリストによって救われる神のご計画を知っていて、何度もそれを阻止しようとしたことが知られています。

・エジプトでパロにイスラエル人に生まれてくる男の子を全部殺させようとした。
「パロは自分のすべての民に命じて言った。「生まれた男の子はみな、ナイルに投げ込まなければならない。・・」」(出エジプト記 1:22)
 キリストはイスラエルから出るお方であるからイスラエルの男を絶やそうとしたものです。

・サウルはダビデを執拗に殺そうとしましたが、彼にはこういうことがありました。
「主の霊はサウルを離れ、主からの、わざわいの霊が彼をおびえさせた。」(サムエル記Ⅰ 16:14)・・「わざわいの霊」は文語訳では「悪鬼」と訳されていて、サタンの配下である悪霊がサウルに取り憑くことを神が許容された解するのがよいでしょう。
 そのためサウルは何度もダビデの真実さを見て「すまなかった」といったけれども、その舌の根が乾かないうちにという表現がぴったりなように、すぐにもとに戻ってダビデを殺そうと追い回しました。
 キリストはダビデの末として生まれることになっていましたから、ダビデを亡き者にすれば、それを阻止できます。

・冒頭に引用した箇所はダビデの血筋を絶やすことにありました。ヨシャパテが息子ヨラムの妻として迎えた女アタルヤは、エリヤが対決したアハブの娘、オムリの孫娘であって、母はイゼベルでした。
アタルヤは自分の息子アハズヤが死んだとたん、ダビデの血筋をひくひとびとを全部殺し、根絶やしにしようとしたのです。危うくダビデの家系は絶滅するところでした。エホシェバが助けたヨアシュがただ一人残り、ダビデの血筋は絶えませんでした。

・エステル記にアガグ人ハマンがユダヤ人を絶滅させようとしたことが記されています。
アガグ人とはサウルが神の命令で根絶やしにしなければならなかった時に生き延びたアマレク人だと思われています。
ハマンがユダヤ人を絶滅させようとしたことも同じく神の御目的を達成させないためのものでした。

・ヘロデは直接キリストを殺そうとしました。
「その後、ヘロデは、博士たちにだまされたことがわかると、非常におこって、人をやって、ベツレヘムとその近辺の二歳以下の男の子をひとり残らず殺させた。その年齢は博士たちから突き止めておいた時間から割り出したのである。そのとき、預言者エレミヤを通して言われた事が成就した。
「ラマで声がする。
 泣き、そして嘆き叫ぶ声。
 ラケルがその子らのために泣いている。
 ラケルは慰められることを拒んだ。
 子らがもういないからだ。」」
(マタイ 2:16-18)
ラケルはヤコブの旅の途中で死に、ベツレヘムの近くに葬られました。ベツレヘムはダビデの父の住んでいたところですが、ラケルの墓のあるところは恐らく、ラケルの子ベニヤミン人の地であって、ベツレヘムと隣接していたのでしょう。それでヘロデが殺した男の子はベニヤミン人が多かったものと思われます。

・サタンは、キリストが来られた後、今度はキリストの再臨を阻止するためにも働いています。キリストの再臨にもユダヤ人が拘わっているため、ユダヤ人を絶滅させればそれを妨害できます。
ヒットラーがユダヤ人を絶滅させようとしたことも恐らく同じ流れでしょう。

(仙台聖泉キリスト教会員)