賛美歌物語
— 聖歌480番「輝く日を仰ぐとき」 —
作詞;スチュワート・K・ハイン(1899~)
作曲;チュワート・K・ハインおよび、スウェーデン民謡マナ・ミュージック
引照;主は大いなる方。大いに賛美されるべき方。その偉大さを測り知ることができません。」 詩篇145篇3節
<本コラムは「野の声|木田惠嗣のホームページ:賛美歌物語:
(これは、101 HYMN STORY by Kenneth W. Osbeck(KREGEL) の中から、有名な賛美歌を選んで、適宜、翻訳し、週報に連載したものです。)から許可をえて転載。
これは、過去30年に渡って、神の民に愛されてきた、優れた20世紀の賛美歌です。その人気の秘密は、著名な福音歌手たちが、特に、ジョージ・ビバリー・シェーが、あちこちで歌ったことにある。アメリカの聴衆に紹介されたのは、ジェームズ・コルドウェル氏が、1951年、ロング・アイランドで開かれたストーニー・ブルック聖書修養会において歌ったのが最初ですが、ビリー・グラハム伝道チームのクリフ・バロウズとベバリー・シェーが、ハリンゲイ競技場で開かれた有名なロンドン・クルセードにおいて用いている間に、「輝く日を仰ぐとき」は、世界的によく知られるようになった。
元々のスウェーデン語の詩は、'O Store Gud,'と題された詩で、1886年、スウェーデンの牧師カール・ボバーグによって作られた。彼は、その時代、最も優れた伝道説教家のひとりであり、また、Sanningsvittnetという定期刊行物のやり手の編集者でもあった。この詩の霊感は、彼が、スウェーデンの南東海岸にある美しい田舎を訪れたときにやってきた。彼は、日中、突然の雷雨におそわれた。畏敬の念を抱かせる、恐ろしい雷光がきらめく瞬間、そして、その後の、晴れて輝く太陽。そして、平和な、美しい小鳥たちのさえずりが、近くの木々から聞こえてきた。その経験は、この牧師を、ひざまずかせ、大能の神をへりくだって礼拝させた。彼はペンを取り、彼の賛美を、スウェーデン語の'O Store Gud, nar jag den varld beskader.'で始まる九連からなる詩に託した。
数年後、ボバーグは、ベルムランド州の集会に参加し、その会衆が、彼の詩に、古いスウェーデンのメロディーをつけて歌っているのを聞き驚いた。
この賛美歌のその後の歴史は、さらに興味深い。ボバーグが作詞した直後と思われるが、その詩は、マンフレッド・フォン・グレーンによって、"Wie gross bist Du" と題されたドイツ語の詩に訳された。その後、1925年に、イリノイ州シカゴにあるノース・パーク大学のE・グスタフ・ジョンソン師が、スウェーデン語の詩から、最初の英語訳詩を作った。この翻訳は、今日、私たちが知っている詩とは、ずいぶん違っているが、今なお、いくつかの賛美歌集の中に見いだすことができる。ジョンソンが訳したスウェーデン語からの逐語訳詩は、“ああ、偉大な神よ、その不思議を見しに”と題されていた。1927年、I・S・プロカノフは、ドイツ語訳の詩と出会い、それをロシヤ語に訳した。
1933年、英国の宣教師S・K・ハインとその妻は、ウクライナの人々のために働いていた。そこで、二人は、「輝く日を仰ぐとき」のロシヤ語訳の賛美歌を、ウクライナ人の信徒たちから学んだ。彼らは、その歌を、暗い、福音化されていない土地で、デュエットで歌うと、救われていない人々に、明らかな効果があったことを覚えている。この歌独自の英語の歌詞を書こうという考えは、そのときには彼らになかった。━━それは、彼らが、ロシアのカルパティア山麓に分け入り、そこの山の風景が、その役割を果たすまで、待たねばならなかった。英語の歌詞の、最初の3節の思想は、カルパティア山脈の忘れがたい経験の中で、一行一行、生まれた。(第4節は、後に、英国で書かれた。)このようにして、一部分は、ロシア語の詩に霊感を受け、一部分は、恐ろしいほどの不思議を感じる、神の御手のわざである自然界の光景に霊感を受けて、最初の2節の英語の歌詞が、生み出された。ハイン宣教師夫妻が、カルパティア山脈で伝道し、村から村へと福音を伝える中で、第3節が生み出された。
1939年に、戦争が勃発し、ハイン宣教師夫妻は、英国に帰らねばならなくなった;今や、三番までの「輝く日を仰ぐとき」で武装したハイン宣教師は、その、激しい戦いのさなかも、福音の戦いを続けた。「輝く日を仰ぐとき」の第四番の完成は、戦争が終わるまで待たねばならなかった。
この賛美歌のメロディーは、古いスウェーデンの民謡を編曲したものです。他の多くの賛美歌同様、賛美歌として典型的な特徴、すなわち、「移り行く時の間も」のように、軽快で、暖かく、歌いやすい簡単なメロディーになっている。スチュアート・K・ハイネは、彼が作った英語の詩に、彼が編曲したスウェーデン民謡の曲をつけて、今日、私たちが、「輝く日を仰ぐとき」という名で知っている賛美歌を出版した。著作権と、出版権が、アメリカの出版社に譲渡されたことも、この賛美歌の人気が広まった理由のひとつです。1974年4月、クリスチャン・ヘラルド誌は、読者に、人気投票結果、アメリカで一番人気のある賛美歌は、「輝く日を仰ぐとき」であると公表した。