同労者

キリスト教—信徒の志す—

論説

— 讃美をもって迎えるクリスマス —

「御使いは彼らに言った。「恐れることはありません。今、私はこの民全体のためのすばらしい喜びを知らせに来たのです。 きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。 あなたがたは、布にくるまって飼葉おけに寝ておられるみどりごを見つけます。これが、あなたがたのためのしるしです。」すると、たちまち、その御使いといっしょに、多くの天の軍勢が現れて、神を賛美して言った。「いと高き所に、栄光が、神にあるように。 地の上に、平和が、御心にかなう人々にあるように。」」(ルカ 2:10-14)

  以前このコラムで由木康の「まぶねのなかに」を取り上げたことがあります。それはその中にイエスのことが非常によく表されているからです。同様の讃美歌は数多くあります。 今回は「イエスにまさる名は」を取り上げ皆さんとそれを考察したいと思います。

♪イエスに勝る名は 天地になし
 父の御心を 世に現わせり

(折返し)
   わが君イエスよと 喜び歌う
   御名の尊さは 世に類いなし

 いと高き神の 御子にしませど
 世を救うゆえに イエスとは呼びぬ

 十字架の上に 掲げし御名を
 よろずの国民 今なお愛す

 いと高き神の 右に昇りて
 御世治らすイエスの 御稜威かしこし
(インマヌエル讃美歌 41)

 「イエスに勝る名は 天地になし
父の御心を 世に現わせり」
父なる神のみこころは 「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」(ヨハネ 3:16)です。「世を愛された」と表現していますが、後に続くことばに「ひとりとして滅びることなく」とありますから、世とは「人間」のことです。
 その実現のために、み父のみこころによって、イエスは人となってこの世においでになりました。

「いと高き神の 御子にしませど
世を救うゆえに イエスとは呼びぬ」
「イエスとは」の「は」は歌うために言葉数をあわせただけで、「イエスと呼んだ」です。主の使いがヨセフに告げたことばはこうでした。
「ダビデの子ヨセフ。恐れないであなたの妻マリヤを迎えなさい。その胎に宿っているものは聖霊によるのです。 マリヤは男の子を産みます。その名をイエスとつけなさい。この方こそ、ご自分の民をその罪から救ってくださる方です。」(マタイ 1:20-21)
「私を」罪から救うために、イエスはおいでになった、そして人の子イエスと呼ばれたことを、深く思い巡らしましょう。
パウロはこう語ります。 「キリストは神の御姿である方なのに、神のあり方を捨てられないとは考えず、 ご自分を無にして、仕える者の姿をとり、人間と同じようになられました。人としての性質をもって現れ、 自分を卑しくし、死にまで従い、実に十字架の死にまでも従われました。」(ピリピ 2:6-8)

 「十字架の上に 掲げしみ名を
    よろずの国民 今なお愛す」
十字架の上に掲げられたみ名はこうでした。
「彼らはそこでイエスを十字架につけた。
・・・ピラトは罪状書きも書いて、十字架の上に掲げた。それには「ユダヤ人の王ナザレ人イエス」と書いてあった。それで、大ぜいのユダヤ人がこの罪状書きを読んだ。イエスが十字架につけられた場所は都に近かったからである。またそれはヘブル語、ラテン語、ギリシヤ語で書いてあった。」 (ヨハネ 19:18-20)
ユダヤ人の王イエスはすべてのひとの救いとなられましたから、すべてのひとの王です。ですから「よろずの国民 いまなお愛す」のです。

 「いと高き神の 右に昇りて
 御世治らすイエスの 御稜威かしこし」
ヘブル人への手紙に記者はこう語ります。「御子は神の栄光の輝き、また神の本質の完全な現れであり、その力あるみことばによって万物を保っておられます。また、罪のきよめを成し遂げて、すぐれて高い所の大能者の右の座に着かれました。御子は、御使いたちよりもさらにすぐれた御名を相続されたように、それだけ御使いよりもまさるものとなられました。」(ヘブル 1:3-4)
 今イエスは御父の右の座にすわり私たちのために大祭司の勤めを果たしていてくださっています。 「さて、私たちのためには、もろもろの天を通られた偉大な大祭司である神の子イエスがおられるのですから、私たちの信仰の告白を堅く保とうではありませんか。 私たちの大祭司は、私たちの弱さに同情できない方ではありません。罪は犯されませんでしたが、すべての点で、私たちと同じように、試みに会われたのです。ですから、私たちは、あわれみを受け、また恵みをいただいて、おりにかなった助けを受けるために、大胆に恵みの御座に近づこうではありませんか。」(ヘブル 4:14-16)
イエスはやがて実際にこの世を治めるためにおいでになります。
「そのとき、人々は、人の子が力と輝かしい栄光を帯びて雲に乗って来るのを見るのです。」(ルカ 21:27)
「神に向かって歌い、御名をほめ歌え。 雲に乗って来られる方のために道を備えよ。 その御名は、主。その御前で、こおどりして喜べ。」(詩篇 68:4) さあ、讃美をもってクリスマスを迎えましょう。