同労者

キリスト教—信徒の志す—

ショートコラムねだ

— とてつもなく小さい話 —


 今回はまた少し息抜きの話をしよう。
 いずれも学者の調べたことの受け売りに過ぎないが、前に・・この宇宙には2000億個の銀河があって、その銀河はおのおの2000億個ぐらいの恒星、つまり太陽と同じように光を発している星があるらしい。おまけにその銀河のあいだの距離がどんどん広がっていく。銀河の離れていく力はどこからくるのか?・・てなことを述べて大きなことを考えたことがあった。
もう4年も前のニュース(古くてニューとは言えないかもしれないが)で、銀河の数は2000億でなく2兆も見つかっているとのことである。望遠鏡が良くなって遙か彼方まで見えると、増えてくるということのようである。さらに高性能の望遠鏡ができればきっともっと多くなることだろう。

 今回は小さい方の話をしよう。
何年か前に、ニュートリノなるとてつもなく小さい粒子が話題になった。というのはそれでノーベル賞を受賞した日本人がいたので、マスコミが騒いでくれたのであった。さらに何年か後その人の弟子がまたノーベル賞をもらった。

 ニュートリノが地球をすいすい通り抜けるということを考えよう。
なぜ通り抜けることができるかというと、ニュートリノはものすごく小さい粒子であるが、質量が存在することと、それが電子の100万分の1以下であることが確かめられたらしい。電子の質量は9.1✕10の-31乗キログラムである。それが先に述べた弟子だった人物がノーベル賞を貰った理由だとか。
以前は電子の大きさも定義されていたが、最近電子は中と外の境界が定まらないらしく大きさは不明とされるようになった。前に言われていた大きさは古典半径とよばれている。
 物質を構成している原子の中で一番小さいのが水素である。
水素は1個の原子核の周りを1個の電子が回っている、1対1だから地球と月のようだが、大きさの比率が大違いなのである。
原子核の大きさは1.7×10の-15乗メートル位、水素原子の大きさは1×10の-10乗メートル位なので、原子核を1メートルに拡大すると、水素原子の大きさは直径約60kmということになる。つまり水素の原子核を直径1mの球とすると、電子の回っている位置はなんと30kmも離れているのである。 何を言いたいのかというと、物質を構成している原子そのものがほとんど空間だけ、であるということである。人間の体も宇宙のように空間だらけなのである。
穴だらけの人間の姿を考えると、人間のイメージが壊れる。
 それにもかかわらず、物質が固いのは、原子の周囲を回っている電子の力にあると考えてよい。これは蛇足だが、原子同士をくっつけて、中の原子核まで接触させることができれば、二つの原子核が融合して新しい別の物質になり、その時原子核の重さが少しだけ減少し核融合熱が発生する。しかしその原子核をくっつけるほど近寄せることができないのである。原子核を無理矢理接触させたのが、水素爆弾であって、重水素(中心に原子核の他に中性子があり重さが水素の約2倍になるので重水素という)を中心において、周りでウランかプルトニウムの原爆を爆発させ、爆発圧縮なる手段により重水素の原子核を接近させることによって融合させた。原子の表面の電子の働きは原爆の力を持って押しつけないと中心にある原子核同士を接触させられないぐらい強いのである。

 さてその小さい原子核は、更に小さいクォークという物質からできているという。そのクォークにも種類があって、その組み合わせで、陽子とか中性子ができているらしい。

 その原子核が崩壊(壊れて他の物質になると考えてよい)するとき、飛び出してくる更に小さい粒子がある。
・・放射性物質は放射線を出しながら自然に原子が崩壊する。粒子加速器なるものを用いて粒子を衝突させても崩壊が起きる。また太陽のような恒星では核融合反応がエネルギー源であって原子核の崩壊は絶えず起きている。・・
 原子核の崩壊にも種類があるが、ベータ崩壊と呼ばれている、電子が飛び出すものがあって、そのとき質量とエネルギーの保存が成り立たないことが発見され、もっと小さい微粒子が飛びだしていると推測された。そしてその微粒子をニュートリノと呼んだ。それがニュートリノの由来である。
 
 ニュートリノはそのように非常に小さく、重力の作用をほとんど受けないし、電気(電荷)を持っていないため電磁気力も働かない。そのため、物質の中の空間をすいすい通り抜けるのである。
人間は穴だらけであるから、ニュートリノはもちろん人間の体もすいすい通り抜けている。
 ニュートリノを観測するためにカミオカンデという装置がつくられ、設備はだんだん大きくなり、装置も改良され、名称もスーパーカミオカンデ、ハイパーカミオカンデと呼ばれ、今も研究がなされている。
原理は、地下深くに設置した巨大な水槽の周囲に、光を検知する光電子倍増管をぎっしり取付け、純水を満たしてある。そしてニュートリノが水の原子核に衝突するとかすかな光を発するのでその光を光電子倍増管で捉える仕組みである。

取り上げたことばを説明し始めると、話はまだまだ続くが、もうおしまいにしよう。


 これも神が創造された自然の姿の一角なのだが、何かというと進化の過程を探るなどという文言が見つかり、悲しくなる。