同労者

キリスト教—信徒の志す—

聖書研究

— 罪について(42)—

野澤 睦雄


「誇り高ぶる者たちは御目の前に立つことはできません。あなたは不法を行うすべての者を憎まれます。」(詩篇 5:5 )

2.各論
(5)高ぶり < 8 >
聖書に登場する、イスラエル、ユダや、異邦人の国の王たちの高ぶりについて、いくつかの例を取りあげてきましたが、今回もう一人、前回のネブカデネザルの孫、ベルシャツァルを見てみましょう。
「ベルシャツァル王は、千人の貴人たちのために大宴会を催し、その千人の前でぶどう酒を飲んでいた。 ベルシャツァルは、ぶどう酒を飲みながら、父ネブカデネザルがエルサレムの宮から取って来た金、銀の器を持って来るように命じた。王とその貴人たち、および王の妻とそばめたちがその器で飲むためであった。そこで、エルサレムの神の宮の本堂から取って来た金の器が運ばれて来たので、王とその貴人たち、および王の妻とそばめたちはその器で飲んだ。彼らはぶどう酒を飲み、金、銀、青銅、鉄、木、石の神々を賛美した。」 (ダニエル書 5:1-4)
 ネブカデネザルが「この城は私が建てたものではないか」と思ったバビロンは、壮大なものでした。 「バビロンの城壁は、高さ90m、厚さ24m、総延長は数十kmにおよび、100の門と250の塔をそなえていたと言われている。」(ウィキペディアに載せられている解説)

 この宴会の時、父のナボニドゥスは外地で、あまり旗色のよくない戦いの真っ最中であったのですが、この城にいれば何の心配もいらないと考えていたのでしょう。
 エルサレムの神殿から奪い取ってきた主の器で酒を飲むのは、神に対する高ぶりでした。神はネブカデネザルの高ぶりに対してはそれを悟らせ、悔い改めに導かれましたが、ベルシャツァルに対しては、滅びを宣告されました。

 「すると突然、人間の手の指が現れ、王の宮殿の塗り壁の、燭台の向こう側の所に物を書いた。王が物を書くその手の先を見たとき、王の顔色は変わり、それにおびえて、腰の関節がゆるみ、ひざはがたがた震えた。王は、大声で叫び、呪文師、カルデヤ人、星占いたちを連れて来させた。王はバビロンの知者たちに言った。「この文字を読み、その解き明かしを示す者にはだれでも、紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけ、この国の第三の権力を持たせよう。」その時、王の知者たちがみな入って来たが、彼らは、その文字を読むことも、王にその解き明かしを告げることもできなかった。それで、ベルシャツァル王はひどくおびえて、顔色が変わり、貴人たちも途方にくれた。」 (ダニエル書 5:5-9)

 そこで王母の勧めでダニエルが呼ばれ、壁に書かれた文字の解き明かしとベルシャツァルへの勧めがなされました。
「王母は、王とその貴人たちのことを聞いて、宴会の広間に入って来た。王母は言った。・・・あなたの王国には、聖なる神の霊の宿るひとりの人がいます。・・今、ダニエルを召してください。そうすれば、彼がその解き明かしをいたしましょう。」
 そこで、ダニエルは王の前に連れて来られた。王はダニエルに話しかけて言った。・・・あなたは解き明かしができ、難問を解くことができると聞いた。今、もしあなたが、その文字を読み、その解き明かしを私に知らせることができたなら、あなたに紫の衣を着せ、首に金の鎖をかけさせ、国の第三の権力を持たせよう。」 (ダニエル書 5:10-16)

 ダニエルの回答はこうでした。
「そのとき、ダニエルは王の前に答えて言った。・・・王さま。いと高き神は、あなたの父上ネブカデネザルに、国と偉大さと光栄と権威とをお与えになりました。・・・こうして、彼の心が高ぶり、彼の霊が強くなり、高慢にふるまったので、彼はその王座から退けられ、栄光を奪われました。そして、人の中から追い出され、心は獣と等しくなり、野ろばとともに住み、牛のように草を食べ、からだは天の露にぬれて、ついに、いと高き神が人間の国を支配し、みこころにかなう者をその上にお立てになることを知るようになりました。その子であるベルシャツァル。あなたはこれらの事をすべて知っていながら、心を低くしませんでした。それどころか、天の主に向かって高ぶり、主の宮の器をあなたの前に持って来させて、あなたも貴人たちもあなたの妻もそばめたちも、それを使ってぶどう酒を飲みました。あなたは、見ることも、聞くことも、知ることもできない銀、金、青銅、鉄、木、石の神々を賛美しましたが、あなたの息と、あなたのすべての道をその手に握っておられる神をほめたたえませんでした。それで、神の前から手の先が送られて、この文字が書かれたのです。その書かれた文字はこうです。『メネ、メネ、テケル、ウ・パルシン。』そのことばの解き明かしはこうです。『メネ』とは、神があなたの治世を数えて終わらせられたということです。『テケル』とは、あなたがはかりで量られて、目方の足りないことがわかったということです。『パルシン』とは、あなたの国が分割され、メディヤとペルシヤとに与えられるということです。」 (ダニエル書 5:17-28)

 「その夜、カルデヤ人の王ベルシャツァルは殺され、 メディヤ人ダリヨスが、およそ六十二歳でその国を受け継いだ。」 (ダニエル書 5:30-31)

 これが高ぶりの結果でした。

(註:考古学者はベルシャツァルをネブカデネザルの血縁としません。証拠が見つかっていないためです。はじめはベルシャツァルの存在そのものが疑われましたが、存在した証拠がみつかりました。考古学の説はそのように変わっていくものです。考古学の説を真実としませんように。)

(仙台聖泉キリスト教会員)