同労者

キリスト教—信徒の志す—

随想

— ホッとする?聖書のことば—

鎌田 新



 聖書には何度も「主を待ち望め」と出て来る。英語ではWait in the Lordである。
主に期待せよ、とも読める。
「主の前にもだし*1、耐え忍びて主を待ち望め。」(詩篇37:7)
Rest*2 in the Lord, and wait patiently for him (Psalm 37:7)
 今の世の中、自分が何をしたいのか、何をすべきなのかと迷い、焦っている人々が多いのではないだろうか。
 コロナ禍の混乱も相まって、何をやればいいのかがわからない、やる力も気力もない、ただ生活に追われ、何をやっても空回りするようで歳ばかりとってゆく、、
、  いつも心配ばかり、不安ばかりで悩み事は絶えない。このままじゃいけないと思いつつも、でも無力感の中で漫然と時は流れて、、、。
 聖書には「人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つのことばで生きるものである」*3と書いてある。 そもそも、人は神無しでは生きて行けない存在なのであると。
 最初の人アダム*4は、土から創造され、神の息を吹き込まれて生きる者となった。
 しかし有史以来、現代に至るまで、人間は神無しの、または人間の作り出した神や宗教、思想や哲学と、それに派生した文化を生み出し続けて来た。しかしまことの神に背を向けたまま、人は誰しもマネー(富)・セックス(異性)・ステータス(権力)の誘惑に弱いから、常に罪に背中合わせで、カオスとバロック*5の繰り返し。
 が、そこに究極的な答えを見い出しただろうか?今でも答えを持たないまま、あちらこちらに歩んでは、やがて命を終えて逝く、その道の終わりには悲劇と滅びが待つのみ、ではないのか?
 主を待つとは、神に聞く事。
キリストでさえ、父なる神に聞かなければ自分からは何もできない*6と言われたのである。
 手持ち無沙汰なら、生き方がわからなくなってしまったなら、心を深く沈めて、人を"生かす"ことの出来る創造主なる神の言葉に、心の耳を傾けよう。命のパン*7を食べよう。そうすれば、心を惑わすあらゆる世の罠から免れ、きっと本当の答えがわかるから。

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*1言わない、黙る、黙すの意。
*2Rest in the Lordとは英語で"主の中で休め、または安心せよ"の意。
*3新約聖書マタイ福音書4:4
*4ヘブライ語で"地面または土"の意。
*5混沌と歪(いびつ)
*6新約聖書ヨハネ福音書5:30 「わたしは、自分からは何事もすることができない。」
*7 ヨハネ福音書6:35 イエスは彼らに言われた、「わたしが命のパンである。わたしに来る者は決して飢えることがなく、わたしを信じる者は決してかわくことがない。」

(夜越山祈りの家キリスト教会 牧師)