読者の広場 <短歌>
— 近況 3 —
鈴木 健一
以前にも書きましたが、教会では「お題」が出されて、その言葉を入れた短歌を詠みます。その題が好きでも嫌いでも作らなければならないため、いわば普段使わない筋肉を使うようなもので、鍛えられます。その上、苦し紛れに短時間でとにかく作るため、思いがけない自分の内面に気づかされます。短歌を作ってみて、アー、私は周りの物事をこんな風に感じていたのか、という発見です。
一首目は「好きなテレビのコマーシャル」というあまりに長い題でしたので、最近印象に野香った薬の宣伝を素材にして詠いました。二首目の「お題」は、歌会をしている東京の東久留米市の「目黒川」でした。一首目も二首目も、語呂のおもしろさを感じて詠っています。
三首目は、当時の民主党の野田首相の言葉から思いついた「お題」でしょう。しかしわたくしの場合は、最近よくこのようなすこぶる個人的な歌になります。遠いむかしの子どものころの思い出が、今の感覚の中で蘇るのです。
グルコサミン・ひあるろん酸・コンドロイチン よく分からねど 膝に効くとか |
夏日さす 東久留米の 目黒川 めくるめく照り 細くうねりゆく |
七十路を 越ゆれど好かぬ 泥鰌汁 疎開先にて 咽にかかりて |
(インマヌエル大宮キリスト教会 会員)