同労者

キリスト教—信徒の志す—

聖書の植物

— 香料、薬草、野草から —

 写真と斜体の解説文は、廣部千恵子氏のホームページ「聖書の植物」から同氏の許可により掲載。
 詳細は同氏のホームページ

http://www2.seisen-u.ac.jp/~hirobe/2002march2.htm

又は「新聖書植物図鑑」(廣部千恵子著、横山匡写真、教文館発行)をご覧下さい。

ヒソプ ―――>Majorana syriaca
シソ科ハナハッカ属


聖書のヒソプという訳が適当であるか否かは疑問であるが、日本語訳の聖書ではずっと以前からヒソプと翻訳されているので今更違う名前を付けてもピンとこない人の方が多いだろう。ただ、聖書のヒソプは、今使用しているハーブのヒソプとは違うものであることだけは述べておく。今一般にヒソプと呼んでいるハーブはヨーロッパで栽培されているものでHyssopus officinalisであるが、聖書のヒソプはどちらかというとハーブのハナハッカに近い植物でMajorana syriaca(文献によってはOriganum syriacum)である。この植物は岩地や砂地などによく生育し、白い花が密な穂状花序に枝の上の部分に群がる。イスラエルでは非常に香が強いが日本で栽培するとそれほどでもない。花は苞葉とがくに包まれた二唇形で4つの雄しべがある。葉は卵形から楕円形の全縁で、対生している。小さな目立たない高さ30~40cm位の低木であるが、低木というよりも、一見雑草のようにさえ見える。直径0.2cm程の小さな花を茎の先に沢山つける。花は5月頃から咲きだし夏近くまで咲いている。植物自体は目立たないが、この頃になるとその強い香でヒソプが生えていることが分かる時がある。アラブ人はこれをお茶や料理に使い、マーケットでも売っている。イスラエルではこのヒソプとゴマとオグRhus coriaria(アラブ人たちはスマックと言っている)を混ぜたものをザータルとして売っているし、それぞれの家で独自の割合で調合したものを作り、パンにつけたり、サラダや料理に振りかけている。
ヒソプは、清めなどの儀式に使われ、旧約聖書では至る所に登場してくる。サマリアでは過ぎ越しのいけにえの血を振りかけるのにヒソプMajorana syriacaを使用したり、指で血を塗ったりしているので、聖書のヒソプがMajorana syriacaとするのは間違いないであろう。