同労者

キリスト教—信徒の志す—

論説

— 創世記4章  —
 <聖書を読みましょう>

「人は、その妻エバを知った。彼女はみごもってカインを産み、「私は、主によってひとりの男子を得た」と言った。ある時期になって、カインは、地の作物から主へのささげ物を持って来たが、アベルもまた彼の羊の初子の中から、それも最上のものを持って来た。主はアベルとそのささげ物とに目を留められた。だが、カインとそのささげ物には目を留められなかった。それで、カインはひどく怒り、顔を伏せた。そこで、主は、カインに仰せられた。「なぜ、あなたは憤っているのか。なぜ、顔を伏せているのか。あなたが正しく行ったのであれば、受け入れられる。ただし、あなたが正しく行っていないのなら、罪は戸口で待ち伏せして、あなたを恋い慕っている。だが、あなたは、それを治めるべきである。」しかし、カインは弟アベルに話しかけた。「野に行こうではないか。」そして、ふたりが野にいたとき、カインは弟アベルに襲いかかり、彼を殺した。主はカインに、「あなたの弟アベルは、どこにいるのか」と問われた。カインは答えた。「知りません。私は、自分の弟の番人なのでしょうか。」そこで、仰せられた。「あなたは、いったいなんということをしたのか。聞け。あなたの弟の血が、その土地からわたしに叫んでいる。今や、あなたはその土地にのろわれている。その土地は口を開いてあなたの手から、あなたの弟の血を受けた。それで、あなたがその土地を耕しても、土地はもはや、あなたのためにその力を生じない。あなたは地上をさまよい歩くさすらい人となるのだ。」」(創世記 4:1-12)

(カインへの神の処罰とお取り扱い、カインの子孫の記録)(創世記 4:13-24)

「アダムは、さらに、その妻を知った。彼女は男の子を産み、その子をセツと名づけて言った。「カインがアベルを殺したので、彼の代わりに、神は私にもうひとりの子を授けられたから。」セツにもまた男の子が生まれた。彼は、その子をエノシュと名づけた。」 (創世記 4:25-26)
「そのとき、人々は主の御名によって祈ることを始めた。」(創世記 4:26)

 アダムと妻の堕落の結果何が起きるのかを示しています。アダムの長子は殺人の罪を犯すものとなりました。
 ヘブル人への手紙にこう解説されています。
「信仰によって、アベルはカインよりもすぐれたいけにえを神にささげ、そのいけにえによって彼が義人であることの証明を得ました。神が、彼のささげ物を良いささげ物だとあかししてくださったからです。彼は死にましたが、その信仰によって、今もなお語っています。」(ヘブル 11:4)
ヨハネはこう言います。「カインのようであってはいけません。彼は悪い者から出た者で、兄弟を殺しました。なぜ兄弟を殺したのでしょう。自分の行いは悪く、兄弟の行いは正しかったからです。」(ヨハネⅠ 3:12)
ユダは教会に侵入する、信者の看板を掲げながら聖書の教えに反することをいう人々の行いの例としてこう述べています。
「ああ。彼らはカインの道を行き、利益のためにバラムの迷いに陥り、コラのようにそむいて滅びました。」(ユダ 1:11)
 カインとアベルの捧げ物の差は何だったのでしょうか。アベルは「信仰によって献げた」のですから、それがどのようにして示されたのかはわかりませんが、きっと「イエスによる贖罪」の信仰を持ったのであろうと推測します。

 カインが殺されないように神からつけていただいた印はどのようなものであったかは分かりません。
「そこで主は、彼に出会う者が、だれも彼を殺すことのないように、カインに一つのしるしを下さった。」(創世記 4:15)
カインの子孫に関する記事は、セツ以下の記事よりも後の年代になります。
カインの妻となった女性はもちろんアダムの子孫です。カインから6代目のレメクは二人の妻をめとったと書かれていて、複数の女性を妻とする最初の記事です。
「レメクはふたりの妻をめとった。ひとりの名はアダ、他のひとりの名はツィラであった。」(創世記 4:19)
「ツィラもまた、トバル・カインを産んだ。彼は青銅と鉄のあらゆる用具の鍛冶屋であった。」(創世記 4:22)
カインの子孫はこの世の知恵には優れていたようです。鉄を使う技術を発明したのはヘテ人(ヒッタイト)とされていますが、カインの記事はノアの洪水の前です。
ヘテ人の技術は、カナンに入っていったイスラエルを悩ませました。
「ヨセフ族は答えた。「山地は私どもには十分ではありません。それに、谷間の地に住んでいるカナン人も、ベテ・シェアンとそれに属する村落にいる者も、イズレエルの谷にいる者もみな、鉄の戦車を持っています。」するとヨシュアは、ヨセフ家の者、エフライムとマナセにこう言った。「あなたは数の多い民で、大きな力を持っている。あなたは、ただ一つのくじによる割り当て地だけを持っていてはならない。山地もあなたのものとしなければならない。それが森であっても、切り開いて、その終わる所まで、あなたのものとしなければならない。カナン人は鉄の戦車を持っていて、強いのだから、あなたは彼らを追い払わなければならないのだ。」」(ヨシュア記 17:16-18)

 「主の御名」
御子の名が「イエス」であるように、神も名をお持ちでそれが「エホバ(ヤハウェ)」であると示されたのです。神の名を直接呼ぶことを恐れた後の時代の人々が神の名に変えて「主」と言い、神の名で祈ることを「主の御名で祈った」といいました。「その名の方に祈る」と言う方がよいのですが。