同労者

キリスト教—信徒の志す—

論説

— 救い主の誕生  —

「きょうダビデの町で、あなたがたのために、救い主がお生まれになりました。この方こそ主キリストです。」(ルカ 2:11)

 イエス・キリストの御降誕に関する聖書の記述を読み、思い巡らしてクリスマスを祝うことにいたしましょう。

 まず、バプテスマのヨハネ誕生の告知がありました。祭司ザカリヤと妻エリサベツ、二人は子がなく、もう年をとっていました。子を与えられることが彼らの長年の願いでした。彼らの祈りは聞かれ、与えられた子はイエスが「最大の予言者」と言われた人物になりました。
「ユダヤの王ヘロデの時に、アビヤの組の者でザカリヤという祭司がいた。彼の妻はアロンの子孫で、名をエリサベツといった。
・・・彼らには子がなく、ふたりとももう年をとっていた。・・・御使いは彼に言った。「こわがることはない。ザカリヤ。あなたの願いが聞かれたのです。あなたの妻エリサベツは男の子を産みます。名をヨハネとつけなさい。その子はあなたにとって喜びとなり楽しみとなり、多くの人もその誕生を喜びます。 彼は主の御前にすぐれた者となるからです。彼は、ぶどう酒も強い酒も飲まず、まだ母の胎内にあるときから聖霊に満たされ、そしてイスラエルの多くの子らを、彼らの神である主に立ち返らせます。 彼こそ、エリヤの霊と力で主の前ぶれをし、父たちの心を子どもたちに向けさせ、逆らう者を義人の心に立ち戻らせ、こうして、整えられた民を主のために用意するのです。」(ルカ 1:5-25)

 エリサベツがみごもって六ヶ月後、主の使いがマリヤのもとにきて、キリスト受胎の告知をしました。
「ところで、その六か月目に、御使いガブリエルが、神から遣わされてガリラヤのナザレという町のひとりの処女のところに来た。この処女は、ダビデの家系のヨセフという人のいいなずけで、名をマリヤといった。御使いは、入って来ると、マリヤに言った。「おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられます。」しかし、マリヤはこのことばに、ひどくとまどって、これはいったい何のあいさつかと考え込んだ。すると御使いが言った。「こわがることはない。マリヤ。あなたは神から恵みを受けたのです。ご覧なさい。あなたはみごもって、男の子を産みます。名をイエスとつけなさい。その子はすぐれた者となり、いと高き方の子と呼ばれます。また、神である主は彼にその父ダビデの王位をお与えになります。 彼はとこしえにヤコブの家を治め、その国は終わることがありません。」そこで、マリヤは御使いに言った。「どうしてそのようなことになりえましょう。私はまだ男の人を知りませんのに。」御使いは答えて言った。「聖霊があなたの上に臨み、いと高き方の力があなたをおおいます。それゆえ、生まれる者は、聖なる者、神の子と呼ばれます。ご覧なさい。あなたの親類のエリサベツも、あの年になって男の子を宿しています。不妊の女といわれていた人なのに、今はもう六か月です。 神にとって不可能なことは一つもありません。」 マリヤは言った。「ほんとうに、私は主のはしためです。どうぞ、あなたのおことばどおりこの身になりますように。」こうして御使いは彼女から去って行った。」(ルカ 1:26-38 )

 その後、マリヤはエリサベツを訪問しました。
「そのころ、マリヤは立って、山地にあるユダの町に急いだ。 そしてザカリヤの家に行って、エリサベツにあいさつした。エリサベツがマリヤのあいさつを聞いたとき、子が胎内でおどり、エリサベツは聖霊に満たされた。 そして大声をあげて言った。「あなたは女の中の祝福された方。あなたの胎の実も祝福されています。 私の主の母が私のところに来られるとは、何ということでしょう。 ほんとうに、あなたのあいさつの声が私の耳に入ったとき、私の胎内で子どもが喜んでおどりました。主によって語られたことは必ず実現すると信じきった人は、何と幸いなことでしょう。」(ルカ 1:39-45)

 このときマリヤが言ったことばは「マリヤの讃歌」と言われています。
「マリヤは言った。「わがたましいは主をあがめ、 わが霊は、わが救い主なる神を喜びたたえます。 主はこの卑しいはしために目を留めてくださったからです。ほんとうに、これから後、どの時代の人々も、私をしあわせ者と思うでしょう。 力ある方が、私に大きなことをしてくださいました。その御名は聖く、そのあわれみは、主を恐れかしこむ者に、代々にわたって及びます。主は、御腕をもって力強いわざをなし、心の思いの高ぶっている者を追い散らし、権力ある者を王位から引き降ろされます。低い者を高く引き上げ、 飢えた者を良いもので満ち足らせ、富む者を何も持たせないで追い返されました。主はそのあわれみをいつまでも忘れないで、そのしもべイスラエルをお助けになりました。 私たちの父祖たち、アブラハムとその子孫に語られたとおりです。」 マリヤは三か月ほどエリサベツと暮らして、家に帰った。」(ルカ 1:46-56 )

 マリヤが妊娠していることが明らかになり、婚約者ヨセフが悩みました。神はヨセフにもみ使いを派遣し、ヨセフもキリストの誕生を信じました。(マタイ 1:18-25)

ローマ皇帝アウグストの住民登録命令によってヨセフとマリヤはナザレからベツレヘムに行きました。そこでイエスが誕生しました。生まれた場所は家畜小屋とも馬小屋とも書かれていません。宿屋には彼らのいる場所がなかった。そして、ただ「飼い葉桶」に寝かせたとけ書かれています。
 そこに、生まれたその時に、羊の番をして野宿していた羊飼いたちが、天使の知らせでやってきました。「今日、救い主がお生まれになりました。」(ルカ 2:1-20)

 東の博士たちが来たときには、ヘロデがイエスを殺そうとして、2歳以下の男の子を全部殺させたことから、もう何ヶ月も日にちが経っていて、住民登録の人々は去り、ヨセフたちも宿屋に泊まれていたであろうと思われています。(マタイ 2:1-20)