同労者

キリスト教—信徒の志す—

読者の広場 <短歌>

— 雑司が谷霊園3 有名人も無名人も —

鈴木 健一

 明治期に整備された都営の雑司が谷霊園には、多くの有名人の墓があり、その案内図もありました。探し当てた漱石の墓は、お弟子さんたちの思いからでしょうか、意外に大きく人を圧倒する感じがして、漱石らしくないなと思いました。明治以来の外国人の墓も多いのですが、一隅に名もわからない墓が並んでいて、「きっと、日本のために働いたひとたちだったろうに」と、申し訳ないような気持ちになり、また哀れさを覚えました。しかし考えてみれば、日本人でもよほど名のある人の墓でなければ、三代か四代も後には誰も知らなくなるでしょう。人の一生で残せるものとは、はて何であるのだろうか、いや永遠に繋がるものは何だったのかと、しばし佇みました。
博士号 いらずと言ひし 野(や)の人の
かく大き墓
誰(た)が建てたるや
名の消えて 十字架のみの 残る隅
外国人の墓
誰(た)が 守りゆく
木もれ日の 墓辺に深く 息つきぬ
何か残るや
わが七〇年

(インマヌエル大宮キリスト教会 会員)

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