同労者

キリスト教—信徒の志す—

読者の広場 <短歌>

— 雑司が谷霊園2 夏目漱石 —

鈴木 健一

 教会の友人H氏は、定年退職された後、大学その他の講座に通い夏目漱石の勉強を続けています。私も大学生の頃から漱石が好きで、主な小説は一通り読んでいましたので、3~4ヶ月に一度、わが家の近所の喫茶店で、二人だけの読書会をしています。彼から、雑司が谷霊園には、漱石や関係者の墓があると聞きました。二首目は私の仙台時代のことです。三首目の「先生」は『心』の主人公のことで、自分が死に追いやってしまった親友の墓を、雑司が谷に定期的に訪ねる場面が印象的でした。霊園の広い敷地と豊かな緑の中を、一時間ほどゆっくりあるきました。
漱石と 草平(そうへい)、是公(ぜこう)の、
墓をめぐる
良き交わりと 伝えらるれば
『明暗』まで つひに読みきり
下宿屋の 畳に寝ころぶ
四年生の秋
「先生」が こころの地獄を 覚えし墓地
われにも疼く
婚にからむ傷

(インマヌエル大宮キリスト教会 会員)

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