読者の広場 <短歌>
— 大震災(8)—
・・・3月10日と3月11日
鈴木 健一
仲間で短歌を詠う時、「題詠」ということがあります。誰かが歌の「題」を出して、それに沿って各自が短歌を作ります。短歌を作るときの必要な能力の一つは豊かな連想力です。題が与えられると、独りで自由に作っているときとは違った発想が求められ、鍛えられます。しかし昨年は題を出されても、震災のことが頭から離れず、しかも私の場合、幼いころ体験した1945年3月10日の東京大空襲が、時々重なりました。次の三首の「題」は、「さくら」「絨毯」「出合い」でした。
三月十日 大空襲に 立ちつくす 五歳の「さくら」か 同年の吾も (2011年4月柴又「寅さん記念館」のジオラマ) |
猛火背に 前、横、地獄火 B29の 絨毯爆撃 なせし鬼畜ぞ |
道も揺れ 歩き疲れて 入るカフェー 温かき主(あるじ) 夫妻との出合い |
(インマヌエル大宮キリスト教会 会員)