同労者

キリスト教—信徒の志す—

巻頭言

— 回 復 —

吉田 浅


「主の霊がわたしの上にある。貧しい人に良い知らせを伝えるため、主は、わたしに油を注ぎ、わたしを遣わされた。捕らわれ人には解放を、目の見えない人には目の開かれることを告げ、虐げられている人を自由の身とし、主の恵みの年を告げるために。」(ルカ 4:18-19)

 私の勤務している職場(病院)は、今年の7月1日で、病院創設70年をむかえました。私も、この病院に就職して45年の歳月が流れました。心を病んでいる方々を日々、お世話しながら考えさせられる事が多くあり、又、たくさんのことを学ぶことができました。
 高校卒業後、T精神病院でアルバイトをしながら、専門学校に通学していました、T精神病院に入院している方で、盛岡市内の教会に行っているクリスチャンに出会いました。彼は「私はこの病気になって良かったと思っている。この病気になったおかげで神様と出会う事が出来た。」と証をしてくれました。
その後、事情があって、アルバイト先がM精神病院に変わりました。その病院で、印象に残る出来事がありました。入院していた1人の青年が、体調をくずし、大声で叫んでいました。「誰でもいいから私が生きている意味を教えてくれー、生きる目的は何だー。」私は答えをもっていましたが、他の人たちもいたので伝える事ができませんでした。専門学校卒業後、M病院に就職しましたが、日曜日に礼拝出席できない日があって、現在の職場に移りました。
 現在の職場で入院されている方と話す時「吉田さんは日曜何をしていますか。」と時々聞かれます。
 そこで「日曜日は教会に行って礼拝します。讃美歌を歌ったり、聖書を読んだりお祈りしたりします。」と返事をします。
 ある時、入院されている O さんが同じ質問をしてきました。いつものように答えると「私も教会に行ってみたい。」と話されました。「じゃ、家族と病院長に許可をもらってあげましょう。」とさっそく、病院長に伺いをたてました。病院長は「吉田君が教会への送迎をしてくれるならいいよ。」と言って下さいました。家族からも了解を得ました。それからOさんは日曜日毎に教会に行くようになり、退院して、やがて洗礼を受けました。Oさんは今はもう昇天されています。
 長期に入院されている方々とも会話の中で福音の話が出たりします。私は答える形で応答します。時には「あなたは天国に入る準備はできていますか。」という会話になったりもします。寝たきりの老人の中には「俺もキリストを信じている。」という方もいました。
 仕事をしながら考えさせられたことは、心の病をもった人々を神様は決して見捨ててはいない。回復の道を備えていて下さるという事です。入院されている方々や病院の職員が救われるように祈っています。病院の中庭にチャペルができ、日曜日毎に患者職員がそこで礼拝をささげることができるように願っています。
 「ひたすら、悔い改めて神に立ち返りなさい。そうすれば、あなたがたの罪はぬぐい去られます。そうして、主の御前から回復の時が来て、あなたがたのためにあらかじめキリストとして定められていたイエスを、主は遣わしてくださいます。」 (使徒の働き3:19、20)

(盛岡聖書バプテスト教会 会員)