同労者

キリスト教—信徒の志す—

わかふうふ、わかもん、いっしょに学ぼっ!

— 父の救い —

森田 初実

「この世と調子を合せてはいけません。いや、むしろ、神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのかをわきまえ知るために、心の一新によって自分を変えなさい。」(ローマ 12:2)  

父は中学校を卒業するまで、福島県会津若松の山奥で育ちました。小学校・中学校は山のふもとまで通っていました。帰りは当然、山を登って戻らなければなりませんでした。冬は一面雪ですからスキーができるのは当たり前でした。
そんな田舎から東京へ就職するために、15歳で家を離れました。
就職した先が東京の荒川区にある工場でした。工場の隣の倉庫にあった6畳の部屋で仲間4人と一緒に住んでいたそうです。
食事も出してもらっていたそうですが、時代が時代でしたので、社長の家族の残り物が出ることもあったようです。そこには虫がわいている時もありましたが、しかし食べる物がなかった時代でしたので出してもらえるだけよかったと話しておりました。一生懸命日々働きました。若さゆえにお腹はとても空き、その時は忍耐して与えられた物で我慢したそうです。
会社の社長が荒川教会へ行っていました。
社長に誘われて教会へ初めて行ったのが、19歳の時でした。21歳の時に洗礼を受け、その時自分の父親の財布からお金を盗んだことを告白しました。
自分は性格的に何か大きな悪いことをするということができない者でしたがしかし、山本岩次郎先生のメッセージを毎週、毎週伺っていくうちに心に迫るものがありました。自分がいかに罪人であるか、その重い気持ちを岩次郎先生の所へ行って告白しました。
先生は罪に対して、白・黒はっきりしなさいと言われました。
自分は何もわからないまま、山奥から東京へ出てきて、食べて生き抜くためにただ働いていました。
教会に導かれて自分の生き様を考えた時に、特に人に迷惑をかけていることもしていないし、真面目に仕事をし、親に仕送りしていましたが、自分が罪人であることをはっきりと示されました。
その心が傲慢であること、傲慢は罪であることを教えて頂き、神の前に謙ることができました。
悔い改めの告白を主キリストと山本岩次郎先生の前でできました。それが私の救いの経験だと父は語っています。
 母が天に召された後、父は仙台聖泉キリスト教会で私と一緒に毎週の礼拝に欠かさず出席しています。
間もなく86歳になります。東京で母と苦労して築いたものを全て次のものに譲って何も持たずに仙台に来て5年になります。しかし、父の60年以上の信仰生活はこれ以上ない祝福に満ち溢れています。今ある生活にいつも神に感謝している姿を見て、謙りの心は今も変わっていないことに父の信仰を見出します。かの日、主が与えてくださる義の栄冠が父を待っていることを信じて感謝いたします。

(仙台聖泉キリスト教会 会員)