同労者

キリスト教—信徒の志す—

巻頭言

— 神の前に遜る —

茂永 進


「あなたの神、主は、あなたのすべての手のわざや、あなたの身から生まれる者や、家畜の産むもの、地の産物を豊かに与えて、あなたを栄えさせよう。まことに、主は、あなたの先祖たちを喜ばれたように、再び、あなたを栄えさせて喜ばれる。 これは、あなたが、あなたの神、主の御声に聞き従い、このみおしえの書にしるされている主の命令とおきてとを守り、心を尽くし、精神を尽くして、あなたの神、主に立ち返るからである。まことに、私が、きょう、あなたに命じるこの命令は、あなたにとってむずかしすぎるものではなく、遠くかけ離れたものでもない。」(申命記 30:9-11)


 聖書日課を今年も創世記から読み進め、ヨシュア記に入りました。特に申命記では、神が、モーセを通して再三に渡り、神の命令に従って歩むようにと記されています。しかし、イスラエルの民は堪え性がなく、神に対して度々不平不満をもらし、モーセを困らせ、安易に異邦の民と交わったり偶像崇拝に走り、簡単に神の命令に逆らうのです。それも何度も懲りずに。私は、エジプトでの奴隷生活がすっかり身体と心にしみ込んでしまったイスラエルの民が、自立した神への揺るぎない信仰を持つことがいかに困難であったかを思い知らされます。
私もこの神とイスラエルの民との関係が、決して他人事ではなく、神の前に信仰が試される日々を送っています。昨年12月から私は既存の事業の他に不動産事業を始めました。
私も50代になり、今後30年近くは社会人として現役であり続けたいと願うときに、長く続けられる仕事を思い描いておりました。その中で、不動産の仕事、特に売買に関わる分野の仕事が最適であり、私自身に向いているのではと考えるようになりました。 この事業を始める前から教会の方々の住まわれる家や転居に伴う売却、一本杉教会の物件探しにも深く関わる機会が与えられたことがきっかけです。
事業を始めるにあたり、必要な人材もご高齢で経験豊富な方お二人が備えられ、順調なスタートを切れたことに大変感謝しています。
開始して、7か月が過ぎ、この間に若い兄姉のご家庭の新居、求道中のご夫婦の新居などの仲介をする機会をもてました。とても幸いであり感謝なことでした。しかしながら、事業を軌道に乗せていくためには、更に仲介件数を増やして会社の業績を伸ばしていかなければならない現実が、私の心に重くのしかかってきました。
日々、その実現のために、神に祈り求め、奔走していますが、自分の思うようなタイミングで、事が成ることはありません。「神の時はいつなのだろうか?」と焦りと不安が常に自分の心を覆います。私はイスラエルの民のように神に対して、安易に不平不満をもらしたくなる心の弱さと待ち続けることの忍耐の無さを思い知らされるのです。
神は確かにイスラエルの民を愛し、祝福して下さることを約束されました。その約束の成就はやはり、神の前に遜り、心を尽くし、精神を尽くして神の時を待ち望み続けることなのです。
必ず神は、私のことも愛し、祝福して下さると信じ、その時が来ることを証しします。

(仙台聖泉キリスト教会 会員)