同労者

キリスト教—信徒の志す—

JSF&OBの部屋

勝利を共にする

石井 和幸

「私が植えて、アポロが水を注ぎました。しかし、成長させたのは神です。」(コリントⅠ 3:6)
「しかし、神に感謝すべきです。神は、私たちの主イエス・キリストによって、私たちに勝利を与えてくださいました。ですから、私の愛する兄弟たちよ。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは自分たちの労苦が、主にあってむだでないことを知っているのですから。」 (コリントⅠ 15:57-58)

 私が小学生の頃、国語の教科書に「おいしいおにぎりができるまで」という童話が載っていました。どんなあらすじかというと・・・あるお百姓さんが狼におにぎりをご馳走したところ、狼がおにぎりをとても気に入って、お百姓さんに「おいしいおにぎりの作り方」を尋ねました。するとお百姓さんは、田起こしから田植え、稲刈り、脱穀・・・といった稲の育て方、米の作り方を、自分の苦労話を交えて説明したのです。そしてごはんを炊き、やっとおにぎりができるところまで説明を終えると、狼は「そんなに苦労して作る食べ物はいらない」と言って去ってしまう・・・といった話でした。
 私の教会野球部「イーグルス」も、今年一年の活動を終えました。11月23日、最後の対外試合で、やっと勝利することができました。それは決して「たまたま勝っちゃった」というものではありません。今年は、昨年よりも対外試合を減らし、その分練習の機会を増やしました。物足りなく感じたメンバーも少なくなかったでしょう。8月には紅白戦で大怪我をした人もいて、野球部の活動内容を1から見直す機会も与えられました。
 最後の対外試合は、今シーズンほんの3試合目でした。当日、ベストメンバーが揃ったわけではありません。仕事等で出られないメンバーもいました。いざ試合が始まると、毎日練習しているような学校の部活とは違うので、やっぱり感覚が掴めず、エラーが重なります。それでも、今までの練習、合宿、教会で共に生きるなかで培ったチームワークで、ピンチを乗り越えていきます。 いつも試合前日になると「明日、雨降らないかなぁ」と言っていたM君がこの試合の終盤、2アウトから逆転の大きな3塁打を打ちました。そしてさらに最終回、ファインプレーをしてピンチを救いました。最後は、焦ったエースがピッチャーゴロをはじいたところを、チーム最年少、小学6年生のサードY君が拾って一塁に投げてアウトにしました。今シーズン、何度もエース、先輩に負担をかけつつ、それでもめげずにプレーを続けたY君が、最後にエースを助けたのです。・・・その光景は教会の将来を見ているようで、一同感動を覚えました。いざ始めたら、思うようにならない野球・・・けれども教会でともに一年過ごした子どもたちに、神は勝利という大きなプレゼントをくださいました。
 日々の生活や経済の営み、なかなか良い結果が出ず思うようにならないと、「こんなことをしていても無駄なのでは?」という思いが生まれます。福音宣教の働きもすぐには報われないことが多くあります。けれども、おにぎりを早々に諦めた狼ではありませんが、「そんなに苦労する福音ならいらない」と言ってしまい、大切な命を失う自分であってはいけないのです。
 教会の野球部にレギュラーとして復帰したT兄は、試合を終えてこう言いました。「自分がチームの一員として、勝利の場にいることができたことを、とても感謝しています。」 ・・・やがて天の御国にて、勝利の行列に加わることを信じ、目指しつつ、信仰生活をまた来年も、主と、愛する方々と共に歩んでいきたく願っています。

(仙台聖泉キリスト教会 会員)

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