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キリスト教—信徒の志す—

JSF&OBの部屋

震災復興と霊的成長

石井 和幸

「イエスは三度ペテロに言われた。『ヨハネの子シモン。あなたはわたしを愛しますか。』ペテロは、イエスが三度『あなたはわたしを愛しますか。』と言われたので、心を痛めてイエスに言った。『主よ。あなたはいっさいのことをご存じです。あなたは、私があなたを愛することを知っておいでになります。』イエスは彼に言われた。『わたしの羊を飼いなさい。まことに、まことに、あなたに告げます。あなたは若かった時には、自分で帯を締めて、自分の歩きたい所を歩きました。しかし年をとると、あなたは自分の手を伸ばし、ほかの人があなたに帯をさせて、あなたの行きたくない所に連れて行きます。』」 (ヨハネ21:17-18)

 東日本大震災発生から、2ヶ月が経とうとしています。 宮城県に多くの教会をもつ教団は、「CRASH JAPAN」や「ホープみやぎ」といったクリスチャンの支援団体にボランティアを派遣したり、独自に被災地での復興活動に関わったりして、多くの祈りが献げられています。 私も、その様子をコミュニティサイト等で知ることができます。 私は仕事と家庭を守ることが優先ですので、ボランティアとして関わることは許されていませんが、被災地の復興のため、またそれに携わる知り合いの牧師、兄弟姉妹方のために祈る時を持ち、必要に応じて支援するスタンスをとっています。
 被災地でのボランティア活動にもルールがあるそうです。 私が印象に残ったルールは、「必ずボランティアリーダーの指示に従い、たとえ善意であっても勝手な行動はしないこと」です。善意がかえって迷惑になる場合もあるので、状況把握を冷静に行わなければならないそうです。また、被災者に「必ず明日は来ます!がんばりましょう!」と声をかけるのも、(この人は自分たちの悲しみがちっとも分かっていない)と思われ、がっかりさせてしまうので、タブーです。 話を聞く、できることなら一緒に涙をともにする。それで十分とのことです。
 私も、震災から一ヶ月が経ち、どのように復興に関わるべきか、正直悩みました。そうしているうちに、自分の会社に震災復興関連の仕事・・・鉄工場ですので、壊れた機械、部品を直して欲しい、プラントの復旧を手伝って欲しい・・・といった依頼が次々と舞い込んで来ました。 私も客先を訪問し、がれきの中から機械を取り出したり、現場を見ながら復旧のための打ち合わせをしたりしました。また、会社の不動産に対して個人や団体からオファーがくることもありました。 大抵の案件は、緊急を要するものでした。私は打ち合わせの度に、 言葉は悪いですが「間に合わせ」でもいいから応急的にすぐ行動すべきか、それともまた同じ災害が起きても耐えられるようにするのか、客先に確認し、打診をしました。そして、背伸びをせず、最短でも確保すべき納期、予算をありのままに提示し、提案をしました。また、客先が資金繰りのために、どこから融資を受け、義援金をどこから受け取ることが出来るか調べたりもしました。 機械を修理しても直らないものははっきりその旨を伝えました。相手に期待させて、後でがっかりさせてしまうのは、この状況では大変良くないからです。また相手の話を聞いて人道的にも緊急を要すると判断したなら、何が何でも迅速に事を進めるようにしました。 けれどもそれによって従業員の福利を削ってしまわないよう、優先順位を常に考慮して取り組みました。 震災後、いつもと同じ位の仕事量が戻って来たのと同時に、震災前よりも責任ある対応、きれいな、しっかりした仕事、体制が求められていることに気づきました。それは、家庭においても同じです。 ちょっとあやふやになっていた家庭での役割、子どもとの関わり・・・震災を経て、困難のなかで家族のきずなが深まり、隣人との交わりが深まりました。そして、守られたことを感謝するのと同時に、家庭での役割、躾を明確にし、子どもや隣人が主によって救われるように、とりなす必要を強く示されました。
仙台近郊の教会では、教会としての機能を回復することにも力が注がれました。 ある教会では、救援物資が置かれ、ボランティアの詰め所になっていた会堂、集会室を元どおりにするために、賃貸契約を結んで隣接する空家を借りました。
 私たちの教会でも、こういった時世だから礼拝を守るだけでも十分・・・とせずに、できるだけ教会活動、諸集会を回復することに努めました。これから相対する復興にむけて、揺らいでいる、慰めを必要とする人格とともに生きるために、私たちは明確な信仰をもち、霊的成長を与えられる自ら、教会であるようにとのメッセージが語られています。 私たちの教会、家庭に示される主なる神からの期待、使命をしっかりと捉えて、なお祈りつつ取り組んでまいります。

(仙台聖泉キリスト教会 会員)

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