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キリスト教—信徒の志す—

JSF&OBの部屋

ネヘミヤの祈り

石井 和幸

「どうぞ、あなたの耳を傾け、あなたの目を開いて、このしもべの祈りを聞いて下さい。私は今、あなたのしもべイスラエル人のために、昼も夜も御前に祈り、私たちがあなたに対して犯した、イスラエル人の罪を告白しています。まことに、私も私の父の家も罪を犯しました。」 (ネヘミヤ記 1:6)
「あなたの隣人をあなた自身のように愛せよ。」(マタイ19:19)

  2001年の春、私は同じ大学で、キリスト者学生会(KGK)でともに活動した同級生・・M兄の結婚式に出席しました。彼は卒業後、ずっと仙台に残って、学生時代から通っていた教会の柱として、信仰生活・社会生活を営んでいました。一方で彼の家族はみな未信者であったため、家族への伝道がM兄の課題でありました。 彼は、このまま仙台に居続けるか、実家があり、母教会がある那須の地に戻るべきか、ずっと主の導きがどこにあるのか、祈り求めていました。私も彼のために祈りました。 彼はついに故郷に戻ることを決意し、母教会の牧師の勧めで、栃木県在住のキリスト者である姉妹と結婚しました。彼の結婚までの道のりは、まさに神とともに歩んだ証しでした。 (彼に比べ、一体自分は何をやっているのだろうか・・・) 不安定な、煮え切らない信仰生活を送っていた27歳の私は、結婚式に出席した後、そんな思いを抱きながら、晴れた空の下ひとり西那須野の駅へ向かって歩きました。
 先月、私たちの教会のT兄がキリスト者の姉妹と婚約をし、教会に大きな喜びが与えられました。私は、M兄とT兄に共通点がひとつある事に気づきました。
 ・・・これも先月の話ですが、私たち夫婦は、KGKのOB会に参加しました。5~6人のグループに分かれて、ネヘミヤ記1章の学びを行いました。20代・30代の若い参加者の発言を聞いているうちに、私は少し違和感を覚えました。 それは、ネヘミヤ記で書かれている「城壁の再建」が、自分自身の信仰生活においてどういう事であるのかピンと来ない・・城壁を建てる意義を参加者自身が掴めていない様子を見たからです。しかし、1章後半、ネヘミヤの祈りについて学びを進めて行くにつれ、参加者個々に具体的な適用、問いかけ、証しが生じました。イスラエルの罪を「私と私の父の家」の罪として、自らのみではなく、イスラエルの民全体を必死でとりなし、祈るネヘミヤの姿がメッセージとして、参加者の心を捉え たからです。
 M兄とT兄の共通点・・・それは、隣人を自分のことのように愛し、自分のことのように苦しみと喜びをともにする姿です。 T兄は、私と歳が近く、ずっと信仰の友として歩みをともにさせていただきました。私が(何もそんなに影響を受け、心揺らぐことないのに。 他人のことなんだし・・・)と思うくらい、隣人とともに荷を担う兄弟でありました。彼は、いつしかその荷の重さから、逃げることを常に考えるような生活をしていた時期がありました。しかしT兄はもう一度主なる神の前に立ち返り、隣人のために荷を担う器として主によってもう一度整えられてきたのです。 KGKのOB集会終了後、数人の未婚の兄姉方とお話しをする時が与えられました。 私は最後に話しました。「男性は特に、自分が決断したこと、主の前に表明した告白について、責任をとらなければならない・・・けれども自分自身の弱さに目を向けるとき、不安を覚え、ジレンマを感じ続ける。 その気持ちは痛いほどわかります。私がそうだったから。でも、『じゃああなたはいつ本気になるのか?』との強い問いかけが神様からあったのも事実なんです。 イエス・キリストの十字架によって贖われて、無に等しいものが命を与えられて、神様のあわれみによってここまで来ている。この事実を握りしめながら、『なんで城壁を建てる必要があるの? べつに適当な信仰でもいいんじゃない?』と言わずに、この世にあって城壁を建てていくんだ、教会を建て、家庭を築いて信仰を継承していくんだ。そうしようとする姿にクリスチャンの女性は惹かれるのではないでしょうか? 自らが何を望んでいるのか表明して、もし牧師が世話してくれなかったとしたら、信頼できる信仰の先輩や友達に祈ってもらってください。神は真実ですから、必ず良き道に導いてくださいます。私たち夫婦も、祈らさせていただきます。」 そして帰り際、家族でOB会に参加したM兄は私たちの家庭のために、涙を流して祈ってくださいました。お互い、子育て・・信仰の継承という主からの使命に、困難であっても取り組み続けることを確認し、祈り合いました。
 私たちの家庭はなお、多くの方々に祈られていることを覚えます。そして、私たち夫婦も隣人の涙のかたわらに添うことができるようにと、ネヘミヤの祈り、兄弟姉妹方の祈りを通して示され、決意を新たにしました。

(仙台聖泉キリスト教会 会員)

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