ＪＳＦ＆ＯＢの部屋

どのような福音を伝えるのか？

石井　和幸

「こういうわけで、このように多くの証人たちが、雲のように私たちを取り巻いているのですから、私たちも、いっさいの重荷とまつわりつく罪とを捨てて、私たちの前に置かれている競走を忍耐をもって走り続けようではありませんか。」
（ヘブル12:1）

　私の教会には野球部の活動があります。今年も、１１月の試合をもって無事、けが人等を出すことなく活動を終え、1年守られたことを大変感謝しています。
　私は１１月の最終戦を終えた後、今シーズンの総括、反省をするため、自分なりに野球部での出来事を振り返り、思い巡らしました。 そして、選手がプレーをする傍で裏方としての多くの働きがあったことを思い、その役割を書き出してみました。 ・・・主にチーム全体を見回して作戦、練習内容を検討するコーチ、 逆に選手個々に付きっきりで指導をするコーチ役、 審判、 スコアラー、ノッカー、コーチャー、イニングの合間に外野手とキャッチボールをする人、 キャッチャーがプロテクターを着けている間、代わりに投球練習を受ける人、 ビデオ撮影係、写真撮影係、 会計係、ボールボーイ＆バットボーイ、選手に声をかけて励ます人、 そしてベビーシッター・・・たかが野球なのですが、プレーをする以外にもこれだけの役目が、我が教会野球部にあることを改めて覚えました。 前任のヘッドコーチは、 今までレギュラーの座にあった年長者をスタメンから外し、代わりに中学生をレギュラーとして使い続けました。スタメンから外された選手たちは、教会では恒励会・壮年会にあたる年代なのですが、野球部において、どのような役割を自らが果たしたら良いのか迷う方々もいました。けれどもその一方、試合が終わると黙って真っ先にグラウンドの整備に走って下さった教会役員もいました。 ここ数年、前述した「選手以外の役目」を野球部のメンバーそれぞれがしっかりと捉えて、引き締まった活動になってきました。 そして、対外試合という緊張した現場におかれるときに、私たちが教会として、心をあわせてこの活動に取り組む意義、主がこの活動を良しとして下さる意味を、それぞれが身をもって知ることができるのです。
　私たちの教会の高校生Ｍ兄が、８月に「みちのく２０１０」と題して３日間行われた超教派のユース集会に、スタッフとして参加した証しをしてくださいました。 Ｍ兄は、教会ではバンドのリーダーです。 ステージに立って、おもいっきり演奏したい年頃です。けれども、ユース集会にてＭ兄に与えられた役目は、「音響係の補助」でした。　Ｍ兄は当初、苦労して準備をするわりに、自分がステージに立てないことを残念に思っていました。けれども、同じ奉仕をする音響係の先輩をはじめ、多くの兄姉が裏方として、集会を作り上げるために喜んで奉仕し、そして主によって集会が用いられるように祈る姿を見て、自分が抱いた思いを反省し、ステージに立つ人も、裏方の人もみな同じ思いで、心を一つにして主に仕える大切さを悟りました。
　私たちの教会で、若い方々を中心に６月に、いしのみなと教会への協力伝道に参加する時がありました。集会を終え、片付けを終えてみんなで 教会を後にした際、私の家内が携帯電話を忘れたことに気づきました。私たち家族のみ、もう一度いしのみなと教会に戻り、会堂や、隣の公園に電話が落ちていないか探しました。すると、教会に残っていた十数名の方々が、総出で家内の携帯電話を探してくださいました。牧師先生も、小さな子どもも、年長の役員さんも・・・ だれ一人、他のことをせず、探してくださいました。 結局電話は私たちの車から見つかり、とても恥ずかしく、教会の方々に申し訳ない思いをしましたが、すばらしい教会であることを知り、大変感謝しました。いしのみなと教会の姉妹と、私たちの教会の兄弟が来年結婚する事実も、今振り返ると不思議な神の導きです。
　「どのような福音を伝えるのか？」・・・
　聖書が示すイエス・キリストの福音・メッセージを捉えつづけ、伝えるのはもちろんなのですが、こういった宣教・教会建設を陰で支える働き、 キリストの苦しみの欠けを補う証人の姿、主は人を通して御業を成されることを確かに伝えていくことの大切さを、この１年、覚えることが出来ました。何より自分が、その働きを見いだすのに疎い者であってはいけないのです。「たかが野球だし、プレー以外やる事があるのか？」と言わずに取り組むこと。そうすれば、子どもたちはその姿を見ています。 「自分が教会に生きるために、主に仕える先生、先輩がいる。キリストとともに生きる証人がいる」 ・・・子どもがそこにかけがえのない価値、命を見いだすことができるように、私たち夫婦も、なお新たな課題を与えられながら、祈りつつ新しい年に向かおうとしております。