同労者

キリスト教—信徒の志す—

JSF&OBの部屋

これはノアの歴史である。

石井 和幸

「これはノアの歴史である。ノアは、正しい人であって、その時代にあっても、全き人であった。ノアは神とともに歩んだ。」(創世記6:9)
「信仰によって、ノアは、まだ見ていない事がらについて神から警告を受けたとき、恐れかしこんで、その家族の救いのために箱舟を造り、その箱舟によって、世の罪を定め、信仰による義を相続する者となりました。」(ヘブル11:7)

 私の仕事は、鉄工場の営業と管理です。今の会社に入ってから丸2年が経っています。 私の大きな仕事に、「見積もりをする」 「価格を決定する」 ということがあります。 私が入社したての頃は、不景気の中でも何とか受注しよう、自分を認めてもらおうと、安い価格で受注して、予算が合わなくなって会社に迷惑を掛けてしまったこともありました。 けれども今は、私と一緒に現場を廻った若手と呼ばれる職人も力をつけて、お客さんから認められるようになってきました。 そして、私の営業活動も、客先との打ち合わせがスムーズに出来るようになりつつあり、社員が創り上げた商品を、その価値を安易に軽く見積もってはいけないんだ・・・誇りをもって仕事をすることの大切さを実感しています。 また新しい年が始まり、家族との関わり、特に子どもとの関わりを大切にしようと願っていましたが、なかなか思うようにペース配分、時間配分が出来ず不本意なまま1月を終えました。 色々と反省、思い巡らしをしているときに心に留まったのが冒頭のみことばにあるノアの信仰です。
 ノアとその家族が箱舟を造るという出来事・・・これは大変な労力であり、それこそ、見積もりをしようとすると大変な金額になります。しかも、ノアだって、今の私と同じように経済、生活があったわけで、自らが生活する時間のなかで、箱舟を造ることに費やす割合は大きかったでしょう。周囲の人も、「いくら神が命じたとはいえ、なぜ箱舟を造らなければならないのか?」と疑問を抱いた人が多くいたに違いありません。 私が持っているチェーン式聖書の注解では、創世記6章9節の、「全き人」について、『これは完全無欠を意味するのではなく、神との関係において正しいという意味である』と説明されていました。 また、「歴史」については、『ヘブル語でトーレドース、生ませしめたものの意』と記されていました。 ノアは、何よりも神を恐れて、全き心をもって神を崇め、箱舟を造り、家族と地上の生物を守り、神のさばきから救いました。ヘブル書のみことばにもあるように、目に見えることではなく、まだ見ていない事がら、未来に向かって仕えていたのです。これがノアの宗教性、神が義とされた信仰であり、聖書はこのことを、神の救いに与った『歴史』としました。
 人は通常、何か一つ、二つのことに集中すると、もう一方のことは手放そうとします。 私も、自分のキャパシティに余裕がなくなってくると、 『このことはもうやめてしまいたい』と思うような事がらがいくつも出て来ます。1月、我が家で開かれた家庭集会において、『神を信じる者は、手放すのではなく、その事がらを神に委ねていくように』と牧師よりお勧めをいただき、さらにエペソ5章15節-17節が開かれ、『賢い人のように、注意深く、みこころを悟り、へびのようにさとく、鳩のように素直であるように』と教えていただきました。時が良くても悪くても、また、自分の弱さと向き合わなければならないときも、神に感謝し、神を賛美し、そして、『どうぞこの事がらが止まってしまうのではなく、願わくば神様の最善を示してください』と祈りつづける大切さを示されました。何よりも、変わることのない、一貫した自らの信仰。そして前に進むために示される神からの是正・変革をへりくだって受け入れることを示されています。
 先月、私たちの教会週報には元旦礼拝後に撮影した家族写真が掲載されました。 今、それを手に取って眺めると、 『何があっても祈りの手を下げてはいけない』 ノアのように全き心をもって神に仕えた先生、信仰の先輩方が写っています。そして、教会の方々の祈りに支えられながら、神のあわれみによって生かされている私。 神が私とこの教会に与えてくださった伴侶の姿。 また、まだ救いが明確ではありませんが、「親が信じる神は真実ではなかろうか? 私も教会の先輩を見習い、友と歩んで行きたい・・・」と笑顔を見せる教会の子どもたち。そして与えられた私の子どもたち。教会は決して単なる癒しのコミュニティではありません。 今も生きて働かれる真実の神を崇め、証しする聖徒の集まりだと実感します。目の前に困難があっても、 自らの歩みが闇に葬らなければならないものではなく、願わくば『神とともに歩んだ歴史』とされて、生涯を閉じて天に召されることを目指して、今を真実に歩んでいきたいと願っております。

(仙台聖泉キリスト教会 会員)

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