同労者

キリスト教—信徒の志す—

聖書研究

— 万人祭司・万人予言者・万人王(第77回) —

野澤 睦雄

・・クリスチャンはみな預言者である。みな祭司である。また王である。キリストにあって、神は私たちを一体とし、そして王位に着けられた。
・・ C.E.ジェファソン(「教会の建設」から引用)

3. 新約における三つの職務の考察(つづき)
3.2 新約の預言者(つづき)

 旧約の預言者は、まだ実現していないこと、自らはそれに与ることが出来ないことを語らなければなりませんでした。彼らが取り次ぐテーマ、その内容は「イエス・キリストとその救い」です。旧約の預言者は、預言はしましたが、自らはそれに与っていませんでした。新約の預言者は、語る前に自分がその救いに与らなければ、その役目を務めることができません。
「あなたがたはイエス・キリストを見たことはないけれども愛しており、いま見てはいないけれども信じており、ことばに尽くすことのできない、栄えに満ちた喜びにおどっています。これは、信仰の結果である、たましいの救いを得ているからです。
この救いについては、あなたがたに対する恵みについて預言した預言者たちも、熱心に尋ね、細かく調べました。彼らは、自分たちのうちにおられるキリストの御霊が、キリストの苦難とそれに続く栄光を前もってあかしされたとき、だれを、また、どのような時をさして言われたのかを調べたのです。彼らは、それらのことが、自分たちのためではなく、あなたがたのための奉仕であるとの啓示を受けました。そして今や、それらのことは、天から送られた聖霊によってあなたがたに福音を語った人々を通して、あなたがたに告げ知らされたのです。それは御使いたちもはっきり見たいと願っていることなのです。」(Iペテロ 1:8-12)
 パウロはキリスト者を迫害するためにダマスコに行ったのでしたが、その途上、イエスがパウロに現れて彼は、イエスがキリストであることを信じました。盲目となった彼は手を引かれてダマスコに行き、そこで祈っていました。彼に彼の使命を告げたのは、ダマスコに住んでいたアナニヤという人物でした。アナニヤは神によってパウロのもとに派遣され、四つの責務を果たしました。その1はパウロが見えるようになること、その2はバプテスマを授けること、その3は聖霊に満たすこと、その4はパウロの果たすべき使命を告げることでした。
「そこでアナニヤは出かけて行って、その家に入り、サウロの上に手を置いてこう言った。「兄弟サウロ。あなたの来る途中、あなたに現れた主イエスが、私を遣わされました。あなたが再び見えるようになり、聖霊に満たされるためです。」」(使徒9:17)
同じ出来事に関するパウロが、エルサレムで捕囚の身となる直前に、群衆を前に語った証言は次のようになっています。
「・・アナニヤという人が、私のところに来て、そばに立ち、『兄弟サウロ。見えるようになりなさい』と言いました。すると、そのとき、私はその人が見えるようになりました。彼はこう言いました。『私たちの父祖たちの神は、あなたにみこころを知らせ、義なる方を見させ、その方の口から御声を聞かせようとお定めになったのです。
あなたはその方のために、すべての人に対して、あなたの見たこと、聞いたことの証人とされるのですから。さあ、なぜためらっているのですか。立ちなさい。その御名を呼んでバプテスマを受け、自分の罪を洗い流しなさい。』 こうして私がエルサレムに帰り、宮で祈っていますと・・・主は私に、『行きなさい。わたしはあなたを遠く、異邦人に遣わす』と言われました。」(使徒22:11-21)
パウロのもう一つの証言は、裁判の過程でヘロデ・アグリッパに述べた弁明です。
「その途中、正午ごろ、王よ、私は天からの光を見ました。それは太陽よりも明るく輝いて、私と同行者たちとの回りを照らしたのです。・・・私が『主よ。あなたはどなたですか』と言いますと、主がこう言われました。『わたしは、あなたが迫害しているイエスである。起き上がって、自分の足で立ちなさい。わたしがあなたに現れたのは、あなたが見たこと、また、これから後わたしがあなたに現れて示そうとすることについて、あなたを奉仕者、また証人に任命するためである。わたしは、この民と異邦人との中からあなたを救い出し、彼らのところに遣わす。それは彼らの目を開いて、暗やみから光に、サタンの支配から神に立ち返らせ、わたしを信じる信仰によって、彼らに罪の赦しを得させ、聖なるものとされた人々の中にあって御国を受け継がせるためである。』(使徒26:13-18)
 アナニヤによって告げられたことは、イエスご自身からもパウロに告げられていたことが分かります。
パウロは、神に派遣された預言者であって、私たちの模範です。要約すると、
まず預言者として働くための準備として
 ・イエス・キリストにお会いすること
 ・救いを受けること
 ・聖霊に満たされること
があります。
そしてその働きの内容は人々に対する
 ・イエスの救いの証人となること
人々を
 ・サタンの支配から神に立ち返らせ
 ・信仰による罪の赦しを得させること
 ・聖徒の嗣業に与らせること
です。
 キリストと教会の奥義にあずかることが<聖徒の受け継ぐべき嗣業>です。

(以下次号)
(仙台聖泉キリスト教会員)

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