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キリスト教—信徒の志す—

ショートコラムねだ

— 少年少女が主人公の小説 —

 「赤毛のアン」という本の翻訳者、村岡花子を描いテレビドラマがNHKから放送されている。
 この赤毛のアンは「アボンリーへの道」というタイトルでカナダで制作されたドラマが繰り返し放映されていて、現在もケーブルテレビで見ることができる。
 日本ではアニメ版が制作され、放送されたとか。
 赤毛のアン効果で、著者、モンゴメリのいたプリンスエドワード島に、日本人観光客が大挙して押し寄せているらしい。有名な五大湖から流れ出ているセントローレンス川の川口にあるこの島、テレビやインターネットちょっぴり拝見すると、なるほど行ってみたくなるようなところである。
 さて、人間の生活を多彩にし、豊かにするものがある。
 音楽、絵画、彫刻、工芸、写真、スポーツ、ダンス、演劇、学問の類、書道、生け花、お茶、山を歩くとか、花や植物育てるとか・・・。 そういったもののなかで、お勧めできるものは本を読むことである。
 神は聖書にご自分を伝えることを託された。伝わっている聖書は文章だけで、文字もことばも捨てられた(ギリシャ語が絶対だなどということはない)と考えてよいが、聖書が本のひとつであることは論を待たない。
 なぜ、本が素晴らしいのか。それは人の心の中まで表現できる表現力にある。絵画も演劇も、映画、テレビドラマの類も、人の心の内を多人数のひとびとに正確に伝えることはできない。よい文学作品は、他のものにまさってひとのこころを豊かにするのである。
 本を読むことは誰にでもできる簡単なものなのだが、どうも本を読むことに馴れていない方が多いらしい。赤毛のアンを取り上げたので、同様に少年少女を主人公に描いた作品のいくつか、この紙面ではタイトルしか載せられないが、ご紹介しよう。
 「若草物語」、著者、オールコットはモンゴメリと同じく女性作家である。第一から第三までは4人の姉妹を主人公とした作品、第四若草物語は複数の少年少女が主人公であるといえるものだが、楽しんで読める作品である。
 「トム・ソーヤーの冒険」、著者はマーク・トゥウェイン、天真爛漫なアメリカ人の少年を垣間見ることができる。
 日本のものでは、古い作品だが坪田譲治著、「子供の四季」は一読に値する。
敗戦後の日本で、志賀直哉、江戸川乱歩、南洋一郎等々当時の一流の作家達が子供向けの小説を書いたのでその頃の作品によいものがある。やがて子供向けには漫画が主流なっていったので、近頃のものではめぼしいものを知らない。
 信仰書を読むことがもちろん最も大切であろうが、このような文学作品に触れることもよいことである。