同労者

キリスト教—信徒の志す—

ショートコラムねだ

— 税金の話 2 —

 前号で税金を取る・・取られる?・・視点から考えたので、ついでに集めた税金を使うことを考えよう。こんなところで何を話しても、犬の遠吠えほどの効果もないことは重々承知であるが、政治家や政府のお偉方をケチョンケチョンにけなしてやれば多少溜飲が下がるかも知れない。ここに述べることは全部知れ渡っていることなのだが。
 税金の使い道を決めるのは、政府、国会議員、国や地方自治体の長と高級官僚、それぞれの議会の議員たちである。

・社会の財布の使い道を決める人々が持っていなければならない資質
 そのもっとも重要なことは、社会の財布を、自分の財布のように思うこと、感じることができることである。だがそういう人物がリーダーとして立ったことは、もう長いこと見ていない。
 彼らは、自らを公僕と称しているが、うそつけ!社会の財布から金を自分の懐にいれるとか、自分の都合の良いように使うのである。たとえば、お偉いさんの一声で、新幹線のルートが曲がったり、駅ができたり、その国元に早く新幹線が通じたりした。
 もし自分の財布だったら、38万円の収入なのに借金をしながら100万円も使い続ける人がどこにいるだろうか。テレビに登場する解説者たちが、それをしょっちゅう話している。みんな知っているのにその状態が止まらないのである。先日、ついに現在の社会の財布の借金は、国と地方自治体を併せると、国民一人当たり900万円になったと話されていた。 日本国民、借金で豪邸に住んでいるということだろう。

・使い道の問題点
 天下りと騒がれて久しいが、それも一向に止まらない。政府、自治体の高級官僚がなぜ、天下ることができるのか、それは残った人々がその天下った人のために、社会の財布から金を出すからである。それを止めてみよ。その人々をハローワークに行かせて、会社が採用するかやって見るがよいのだ。
 要らない外郭団体(法人)が、なんといっぱいつくられていることだろう。それみな天下りの受け皿である。なんのことはない。政府、地方自治体のみかけの人数を減らしているだけなのである。役に立っている団体(法人)なら、その団体に金を払って仕事をしてもらう人々がいるに決まっている。それが何で社会の財布で給料を払わないと維持できないのか?役に立たないことをしているからに違いない。全部株式会社に変えよ。そして社会の財布から金を出さなければよいのだ。
 要らないものをせっせとつくってきたことも、社会の財布の借金が増えた理由である。例えば、全国津々浦々、立派な舗装をした農道が走っている。筆者の田舎に行っても、山を切り崩して、どーんと立派な農道ができている。なんだこれは!がそれを見た第一印象であった。悲しいかな。土建業界に金を落としただけなのである。そうやってその業界が大きくなり、仕事を出すことが止められなくなる。止めると倒産し、失業者が出る。泣きつかれて金を出し、また何か造ることになる。 これはほんの一例で、様々の業種、業界にそのような金が使われ続けたことは歴然である。 <公共投資>と称するが、「投資」なら、時間がかかっても、投下した金以上のものが回収されるのが当たり前である。自分の財布から、回収できない投資をするだろうか?

・発想を切り替えてもらいたいものだ
 <景気を浮揚させたい>、これが公共投資を大きくしている要因であるが、回収できる投資先を見つけられないでいる。
 現政府が主張する政策の、第三の矢と称する、産業界の活性化であるが、正にこの回収できるよい投資によって景気を浮揚させないと、政府が金を使うので一時的には景気が良くなったように見えるだろうが、それは全部借金となって残るのである。これは農道をつくったのと同様であって、過去にずっとやってきたことの繰り返しになる。
 日本には経済を牽引する可能性のある技術や資源がある。例えば、油を産生する藻、現在はまだ研究段階とされているが、世界最高水準のものを所有している。太陽光によりその藻を繁殖させて、休耕田を利用するだけで、日本の全石油輸入量分をまかなえるという。それがなんと、農業でないから休耕田を使えないという。藻は植物ではないのか。それを太陽光によって繁殖させるのだから、ハウス栽培とどこが違うのか。お役人さんたちに少し頭を切り換えてもらいたいものだ。これは政府がドーンと投資できるテーマではないのか。
 日本の周辺にメタンハイドレートが埋蔵されていることは既に分かっている。 海底のレアメタルもそうである。 メタンハイドレートの試験採掘には既に成功している。十分な量を採掘できる設備に投資すれば、採算ベースの載るのではあるまいか。原油輸入に頼ると国外に金がでていくが、少々高くてもその金を受け取る会社、人々が国内であることは利点である。
 太陽光発電、風力発電などの自然エネルギーの利用法の泣き所は、気象により出力が変化することであるが、水力発電所では、夜間の電力で水を高所にくみ上げて、昼、それを使って発電するものもある。自然エネルギーによる発電とも当然組み合わせることができる。水を電気分解して水素として蓄え、燃料電池で平準化をすることも視野に入っている。

  さて、一番大切なこと、社会の財布が自分の財布に見えることをもう一度考えよう。キリスト者として非常に大切なことは、教会の財布が自分の財布に見えることなのである。使い道に口を出すことではなく、それを担うということにおいてである。