同労者

キリスト教—信徒の志す—

論説

— 聖書信仰-3 —

「けれどもあなたは、学んで確信したところにとどまっていなさい。あなたは自分が、どの人たちからそれを学んだかを知っており、また、幼いころから聖書に親しんで来たことを知っているからです。聖書はあなたに知恵を与えてキリスト・イエスに対する信仰による救いを受けさせることができるのです。聖書はすべて、神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練とのために有益です。それは、神の人が、すべての良い働きのためにふさわしい十分に整えられた者となるためです。」(テモテⅡ 3:14-17)

 前回、聖書が「誤りのない神のことば」であることを捨ててしまった人々について触れましたが、それはサタンに目を眩まさせられていることに他なりません。逆にサタンは聖書が神の書であることを知っているからこそ、何とかそれを人が知り正しく受け入れないように努力をしているのです。実に紀元500年頃から1500年頃まで1000年もの間、サタンはカトリック教会のシステムを利用して、聖書を一般の人の目に触れないようにしました。
サタンは聖書を恐れているのです。
「あなたは、神はおひとりだと信じています。りっぱなことです。ですが、悪霊どももそう信じて、身震いしています。」(ヤコブ 2:19)
<あなたは聖書を神のことばだと信じていますか。りっぱなことです。ですが、悪霊どももそう信じて、身震いしています。>
聖書はそういうものです。それでパウロはこう勧めます。
「私たちの格闘は血肉に対するものではなく、主権、力、この暗やみの世界の支配者たち、また、天にいるもろもろの悪霊に対するものです。ですから、邪悪な日に際して対抗できるように、また、いっさいを成し遂げて、堅く立つことができるように、神のすべての武具をとりなさい。 ・・・また御霊の与える剣である、神のことばを受け取りなさい。・・・」(エペソ 6:12-18)

 聖書を誤りのない神のことばであると分かっているだけでは足りません。その中身を御霊の剣として使えるようになることが必要です。それで、パウロの与えているテーマ「神のことばを受け取りなさい。」は、どのようにしたら達成できるでしょうか?
 テモテについて、幼いころから聖書に親しんだこと、教えてくれる人がいたことが分かります。パウロはその学んで確信したところにとどまっていなさい、とテモテに命じています。
 教会の中に育ち、幼い時から聖書に親しんだひとは幸いです。
 聖書を学び、身につけたいと思う方々にジョン・ウェスレーの勧めた方法を紹介しましょう。

「もしあなたが、最も効果的にその目的にそうような方法で、聖書を読みたいと望まれるならば、以下のようなことが助けになるのではないだろうか。
(1) その目的のために、もしできれば、毎日、朝と晩に短い時間をとっておくこと。
(2) ゆっくりできる時間があったらいつでも、旧、新約聖書から1章ずつ読むこと。もしもそれが無理ならば、1章だけでもよいし、またその一部分だけでもよい。
(3) 聖書を汚れなき目をもって読み、神の全き意思を知り、それをなさんとする固き決意を知ることが助けになる。かれの意思をなさんがために、あなたは次のことをなさなければならない。
(4) 信仰の比喩を常にしっかり見定めること。その比喩とは原罪・信仰による義認・新生・内的外的きよさなどのような偉大な、根本的な諸教理の間にある関連や調和のことである。
(5) 神の言葉を調べる時には、
「聖書は、それを与え給うた御霊によってのみ、理解され得る」
ことを考えて、前もって、敬虔な、真剣な祈りがいつもなされるべきである。
同様に、読み終わった時も、今読んだことがわたしたちの心のうちに書き付けられるように、祈りをもって閉じるべきである。
(6) また、読んでいる途中で、時々休んで、今読んでいることによって、自分自身を、心と生活との両面からの関係において吟味してみるのも有益であろう。
 このような聖書の読み方をしていれば、神の新聖なる意志に従うことをわたしたちに神が可能にしてくれたということに気づいたならば、わたしたちは神をほめたたえるだろうし、神の御意志に服従し得なかったと気づいたならば、わたしたちは謙遜になり、祈るだろう。また、あなたがそこで受けた光がどのようなものであっても、それをあなたは徹底的に、しかも直ちに、用いるべきである。ぐずぐずしていてはいけない。あなたの決意したことは、できるかぎり速やかに実行に移しなさい。そうするならば、実にこの御言葉が、現在の、そして永遠の救いに導く神の力であることがわかるであろう。」
(「旧約聖書注解序文」野呂芳男編、「ウェスレーの神学」第2版、新教出版社、昭和38、p.28から引用)

 自分は「聖書信仰」の持ち主であると信じている皆さん、是非聖書を学んで身につけることを心がけましょう。