同労者

キリスト教—信徒の志す—

聖書研究

— 救いについて(49) —

野澤 睦雄


「あなたがたは、あらゆる努力をして、・・・、徳には知識を、・・・加えなさい」(ペテロⅡ 1:4-8)

3.聖書が示す人間観・・・救いの必要、救いの内容を考察する基礎

 <自分の建設>

 「神経験」による神に関する知識について述べました。それは信仰生活に豊かな喜び、楽しさを与えるものですが、客観性に欠け、主観的な面が全面にでて誤った判断をする危険性と隣り合わせです。そのような不安に対する補いとして、客観的な知識を与えてくれるものが「聖書」であって、聖書は「信仰の土台となる知識」を提供してくれます。
 教会の集会に出席し、教会の様々な活動に参加していると、聖書に関する知識を教えていただくことができます。それは聖書全体からいえばそのほんの一握りの知識であって、聖書の全体を網羅する訳にはいきません。それに取り組んでいる時間があまりにもわずかだからです。自分の人生の時間の何パーセントをそのために費やしているでしょうか。それを考えれば分かります。
 自分で聖書を読み、聖書を研究することが、教会の集会と一緒に働き、それに取り組む人は信仰に必要な知識を与えられます。
 キリスト教の専門家でない者が、聖書に取り組んでも無理と、読まないうちに言ってしまわないようにしましょう。神は聖書「神の書」を読むことを喜んでくださって必要な光をお与えになります。
 まず聖書をそのまま読むことから始まります。次に「聖書研究」と呼ばれる分野に脚を踏み入れることになります。

 聖書研究にはいろいろな分野がありますから、それを理解して取り組むと良いでしょう。
 どの分野も互いに関連しています。参考にする書物が必要ですが、書物に書いてあることがみな正しく聖書の教えを伝えているのではありません。知らずに読むととんでもない教えに引き込まれる可能性がありますから、読んで学ぶ前に教会の先生やしかるべき信者に相談して参考にする書物を選ばなければなりません。
 思いつくままにざっと拾い上げると
 ・教理、神学
 ・教会
 ・牧会
 ・歴史
  信仰の民族の歴史
  救拯史
  教理史
  教会史
・聖書の歴史にかかわる地理
・人物
  聖書中の人物
  教会史中の人物の伝記
・イエスの教え
・イエスの奇跡
・イエスの譬え
・聖書の特定の巻の研究
    モーセ五書の研究はじめ
    聖書のどの巻も
・信仰者の証し、自伝
・宣教師やキリスト教史に名を残している人々の伝記
・特定のテーマに関する研究
    救霊
    祈り
    人間の気質に関して、など。(ただし心の病の領域に入ると収拾がつかなくなります。)
・バンヤンの天路歴程、聖戦、悪太郎の一生、のような書物
・ケンピスの「キリストに倣いて」のような書物
などがあります。いずれも聖書の教えと対比しながら読むことによって聖書研究になります。

 聖書研究の対象として最も興味深いテーマは、「教理、神学」でしょう。 テキストとして読むのには、パーカイザーの「キリスト教信仰の探求」などがよいと思います。
 「救拯史」については、エーリヒ・ザワーの「世界の救いの黎明」と「十字架の勝利」がおすすめです。
 「聖書の人物伝」は多くの人が取り組んでいますが、F・B・マイヤーの聖書中の多数の人物についての著作が翻訳出版されています。

 もう一度いいますが、書物を参考にしようとするとき、正しいことが書かれていると思って鵜呑みにしないで、パウロが宣教にいったベレヤの町の人々の様な対応をするとよいでしょう。
「兄弟たちは、すぐさま、夜のうちにパウロとシラスをベレヤへ送り出した。ふたりはそこに着くと、ユダヤ人の会堂に入って行った。ここのユダヤ人は、テサロニケにいる者たちよりも良い人たちで、非常に熱心にみことばを聞き、はたしてそのとおりかどうかと毎日聖書を調べた。」(使徒の働き17:10-12)

 聖書研究の実例として、「飲酒に関する聖書の教え」をご紹介します。
http://dorosya.net/036/seiken.html
「同労者」第36号(202年9月発行)
同労者ホームページで読めます。
「特定テーマに関する聖書研究」の一つになります。
この文の中にも書いているとおり、私の意見としては、「私たちは私たちの唯一の規範とする聖書に立ち帰り、聖書は飲酒についてどのように教えているかを学び、そして学んだところに生きるべきです。もしも聖書が酒を飲んでよいと教えているのでしたら、私たちはこの世の人々と同様に宴席を開き酒を楽しめばよいのですし、聖書が飲酒を禁じているのでしたら、断固として酒を拒絶しなければなりません。」そのような考えに立って聖書を調べた結果、「時代」が大切な鍵で、新約の時代すなわち聖霊の時代になった後に、神は飲酒をやめるようにお命じになったと結論しています。
(山室軍平の「禁酒のすすめ」などは、この世のレベルの酒の害悪を禁酒の理由とするにとどまります。)

「ですから、愚かにならないで、主のみこころは何であるかを、よく悟りなさい。 また、酒に酔ってはいけません。そこには放蕩があるからです。御霊に満たされなさい。」(エペソ 5:17-18)

(仙台聖泉キリスト教会員)