読者の広場 <短歌>
— 庭の客 2 —
鈴木 健一
短歌を長年やっていて良かったことの一つは、自然を細かく見つめるようになったことです。四季の移り変わりは、まず植物の姿に現れますが、木や草の葉に照る日差しもずいぶん違います。大病をしてほとんど外出ができない数年の間、リビングから小さな庭を毎日見て、複雑な、そして微妙な変化に気づきました。それはまた、私の短歌の心境が深まっていく過程でもありました。
照り繁る 山椒にまとひ 舞ひ狂ふ 黄揚羽二つ 朝より暑し |
明日葉の 葉陰に入りては 舞ひ上がる 青すじ揚羽か 水打ちし庭 |
ブルーベリー 房なるあたりに 熊ん蜂 中空に止まる 何ごとやある |
大きなる 蜂の巣垂るるを 自慢せし 友の別荘(いえ)思ふ 蜂ひとつ来て |
(インマヌエル大宮キリスト教会 会員)