同労者

キリスト教—信徒の志す—

JSF&OBの部屋

~家族旅行~
親の判断を見る子ども

石井 和幸

アブラムが九十九歳になったとき主はアブラムに現われ、こう仰せられた。「わたしは全能の神である。あなたはわたしの前を歩み、全き者であれ。 わたしは、わたしの契約を、わたしとあなたとの間に立てる。わたしは、あなたをおびただしくふやそう。」
(創世記17:1-2)

8月13日~15日、両親・叔母・妹・私・妻・子ども2人の家族8人で旅行をしました。今回は、両親の希望した『弘前と五能線・白神山地』に男鹿を加えて、家内がセッティングをし、10人乗りのレンタカーを手配しての旅でした。今、旅行を振り返ってみると、やはり子どもたちの言動・反応が心に残ります。子どもたちは、『あと何日寝たら旅行なの?』と、だいぶ前から楽しみにしていました。

 旅行初日。朝8時30分すぎに仙台を出発しましたが、早くも宮城県内の高速道路で帰省ラッシュの渋滞。1時間たつと、5歳の娘が、『今日旅行にいくところは遠いんだねえ。あとどれくらいかかるの?』と言いはじめました。私にとっては(早速きたか!)と思うような発言です。もっとも、いつも家族で出かける所は大抵1~2時間で目的地につくところばかり。かなり長いドライブに、今度は『ねえ、いつ着くの?明日?』と言って周りの笑いを誘いました。車中で、娘主導のしりとり&クイズ大会でみんなで盛り上がる中、私は(おやつも食べてるし、2時30分までに弘前につくようなら、当初の予定通りの食堂に行こう。但し、弘南鉄道大鰐線に乗るのはあきらめよう・・・)と決断。しかし!大鰐弘前ICを降り、道すがら青森県武道館があったので、父の希望を叶え、立ちよって写真撮影した後、お腹をすかせて食堂にたどり着いたところ、あいにくの夏期休業というハプニングとなりました。結局、昼食は4時すぎに、弘前公園でお城を見ながら、コンビニのおにぎりとなりました。娘が『これってピクニックだよね』と笑いながら言ったことにホッとして、『こんなに美味しいコンビニのおにぎりは初めてだよね』と言いつつみんなでおにぎりを食べ、ほっと一息。弘前城の蓮がとてもきれいに見えました。5時ころ、宿泊先の貸別荘に到着。子どもたちは大小いろんなボールが転がっている広い庭で、大はしゃぎでした。夕食は弘前フレンチの店へ。途中、大鰐線の踏切を通ったのですが、そこにちょうど電車が来て、実は隠れ鉄道マニアである私はワクワクし、夕暮れの鉄道を楽しんだのでした。夕食は、フランス料理に少し緊張しながら料理に相対。2歳の息子は紙ナプキンをネクタイのように折り、自分の首に差して、得意げな顔をしていました。美味しいフレンチでしたが、妹と娘のオーダーしたソーセージが激辛で、一本食べきった娘を大いに褒めたという一幕もありました。宿では寝る前に子どもたちと一日を振り返り、私が「今日いちばん楽しかったことは何?」と聞くと、娘は「庭で、ボールでいっぱい遊んだこと」と答えました。ちなみに、家内が子どもたちに「明日は電車に乗るよ!楽しいぞー!」と言うと、息子が「電車が楽しいのはお父さんでしょう~?」と答えていました。息子は、私が旅行の初日に何に対して目を輝かせていたか、ちゃんと捉えていました。

宿にて

 2日目の朝は駅弁を買って五能線へ。私が事前に調べて「ウニいっぱいのがあるんだよ!」と楽しみにしていた駅弁の、写真では沢山のウニに見えたものが実は玉子のそぼろだったことは、みんなからツッコミを入れられましたが、美味しい駅弁を食べながら家族で乗った五能線は、ボックス席だったこともあり、とても楽しいひと時でありました。千畳敷では、息子が大きい岩に「ロボットだぞーガオー!」と言って戦いを挑んだり、最初行くのをためらっていた娘がそのうち楽しくなってドヤ顔でポーズをとったりしていました。さて、白神山地に着いて、昼食に「マグロステーキ丼」を食べようと、わくわくしつつお店に行くと、今度は「今の期間だけはバイキングとなっております」とのこと。美味しかったけど・・・涙の昼食でした。白神山地ではとてもきれいな湖を見て、その不思議な色と雰囲気に感動しました。宿泊は男鹿の旅館へ。夕食はあまり美味しいとは言えない(控えめな表現)ラーメン。息子は頭をかしげつつも「おいしい。」と言ってましたが・・・。そんな2日目の宿は、やっとの思いで家内が予約した男鹿温泉のホテルでした。和室8畳が2室。となると、男性組と女性組で分かれることに・・・父と私と息子で1部屋です。息子は、普段は結構「お母さんと寝る!」「まみねえねのところにいく!」と言ってそちらに移動して寝ることがあります。この日も、いつ「お母さんの部屋へいく!」と言い出すかドキドキしていましたが、息子はそんなそぶりも見せず、部屋にあるもの、光景を指差しながら、いろいろな話をして私たちと過ごしました。チェックアウトするまで「お母さんの部屋に行きたい!」とは一言も言わずに、おじいさんと、私との3人で過ごすべき状況を息子は捉え、受け入れてくれました。

千畳敷にて青池にて男鹿にて

 3日目は水族館の駐車場まで車を走らせましたが、あいにくの大雨。男鹿半島に吹き付ける強風と雷がすごく、子どもたちが怖がったので、水族館には行かずに帰路につきました。大荒れの日本海を堪能しつつの帰路、そんな中でもアイスを売っていたおばあさんがいて、重石を移動するお手伝いをしてオマケしてもらったりという一コマもありました(車でみんなで食べたあのアイスは美味しかった!)。
 家族8人で旅行した3日間は、妹が「3日間の旅で食事のハズレが4回ってすごいね!」とある意味感動していたほど、ハプニングがたくさんありましたが、本当に心にのこる事柄が多くありました。特に、親である私たちがどういう判断をしたか・・・どのような表情をしたかということを、子どもたちはちゃんと見ていることをひしひしと感じました。もう間もなく子どもたちは、「あのときお父さんはこうした」「あのときお母さんはこう言った」と言い、自分が行動をするときの動機づけとするでしょう。この先、隣人と喜びをともにするために骨を折るも、思うようにいかないことや、思わぬハプニングがおきたりすることも多くあると思います。自分の癖や傾向を思い知ってがっかりしたりということもあるでしょう。人生はそういうことの繰り返しであることを覚えます。今回の旅行では、私たちもそういう中に置かれました。しかし、そんな中でも家族の中に笑顔が絶えない旅行であったことを本当に幸いに思いました。
 神と共に歩む、そのことを目指す中で、子どもたちは私たちの背中を見るのだ、ということをしっかりと胸に刻まなければならないと思いました。神からの約束を信じ、様々なことが起こってもその中を笑顔で歩んでいくことができるように、その中に神がいてくださる、その姿を子どもたちに見せることができるように、尚、夫婦で祈りつつ取り組んでいきたいと思っております。

(仙台聖泉キリスト教会 会員)