同労者

キリスト教—信徒の志す—

巻頭言

— 1年をふり返って —

石井 行雄

「また、だれをもそしらず、争わず、柔和で、すべての人に優しい態度を示す者とならせなさい。」
(テトス3:2)

 今年も残り1ヶ月で終えようとしています。私にとってこの年は節目と言っていいと思います。
 2年前の同労者にも書かせていただきましたが、65歳を区切りとして42年間勤めた会社を退職し、住まいを換え、新たな決意をもってスタートしました。
 第一の希望は自分の会社を持つことでしたが、経済的理由で難しいということになり、勤める会社を探しました。家の近くの鉄工所を数カ所回ったのですが、年齢の壁があり断わられ、16km先の知り合いの建設機械リース会社に勤めることになりました。仕事は機械の点検、掃除、塗装が主です。週休2日制で土曜の休みには近くの名取川でしじみを半日でバケツ2杯も捕ったり、土手沿いを閖上までサイクリングに行ったりと、ゆとりの老後を送っているとも言えます。しかし、世に言う他人の飯を食ったことのない者であり、この年になっても甘さと世間知らずのところもあり、新しい職場で通用するだろうかという一抹の不安をもったスタートでした。
 そんなある日、上司が、私が原因で人間関係にひびが入っているということで、4人で話し合いが持たれました。最後に30代の人が、「石井さんは何で私に向かって塗料をスプレーしたり、入ってきたらトラックにスプレーしたんですか」と言いましたが、全く身に覚えのないことでした。それで私は「その時は言ったらいいじゃないですか」と言い返しました。その人は「言わなくても分かっているでしょう」と主張し、そのまま会話は終わりました。
 その後、40代の人に「人がいると分からないで私がスプレーしたんじゃないですか?トラックの件も、ただそう見えただけなんじゃないですか」と言ったら、私の立場を理解してくれました。それから何日か後、一緒に仕事をした中で話題になったので、私は「あのことは水に流す」と言いました。その後はトラブルがあった人とは仲よく助け合って仕事をしています。あと4年、70歳になるまでは今の会社に勤めたいと思います。
 小さな事かもしれませんが、私にとってこの一言が大切なのです。以前の自分でしたら、濡れ衣を着せられた事に怒り、相手を攻撃したかも知れません。老後の生き方として、少し角の取れた、円満な者となることを心掛けたいとおもいます。
 私にとって変化の多い、大切な年でしたが、神の恵みと導きが豊かであったことを覚え感謝しています。できれば、会社の人にも伝道したいと思っています。

(仙台聖泉キリスト教会 会員)